第16回離婚弁護士コラム 「性格の不一致」という理由だけで離婚ができるのか

札幌で長年弁護士として、多くの離婚問題に取り組んできましたが、意外と多く相談を受けるのが「DVやモラハラがある」、「配偶者が浮気をして許せない」などの明確な理由がないけど、離婚したいという相談です。今回のコラムでは、いわゆる「性格の不一致」による離婚について解説したいと思います。

 

「性格の不一致」による離婚

性格の不一致とは、一般的に、互いの性格や価値感、物事に対する考え方の違いを言います。子どもの教育方針が合わない、金銭感覚が合わない、性生活の不一致、仕事や趣味に関する考え方が異なるなど、実に多様なものが挙げられます。

中には、「これといった理由はないけど、とにかくもう分かれたい」という場合も、何らかの気に障る点を挙げて「性格の不一致」による離婚ということもあります。

裁判所の「司法統計」によると、最も多い離婚理由は「性格の不一致」とされているのも頷けます。

 

「性格の不一致」を理由で離婚できるのか

「性格の不一致」を理由に離婚できるのかについて、法律的に回答するとなると、協議離婚や調停離婚であれば可能だが、裁判離婚となると必ず離婚できるとは限らないということになります。

 

「性格の不一致」を理由に協議離婚・調停離婚であれば離婚できる

協議離婚とは、その名のとおり、夫婦両者が協議を行い、互いに合意を得て離婚するという離婚方式になります。一般的に「離婚」というとこの方式になることがほとんどです。

法律上、離婚の方式はいくつかありますが、協議離婚であれば、当事者の合意によって離婚が成立するため、どんな些細な理由であっても、当事者が納得さえすれば離婚は可能となります。極端に言えば合意さえあれば理由がなくても離婚可能です。

同様に、調停離婚の場合も、夫婦双方の合意が得られれば、「性格の不一致」を理由とする離婚も認められます。調停離婚は、夫婦の間に調停委員という仲介役を介しながら話し合いを進める手続きで、家庭裁判所の介入があるとはいえ、最終的には夫婦双方の合意を目指す手続きなため、この調停離婚であっても、最終的に夫婦間で合意が整えば、「性格の不一致」を理由に離婚可能になります。

 

裁判離婚の場合は「性格の不一致」を理由とする離婚請求は認められない

裁判離婚とは、離婚裁判によって、裁判所に離婚を認めてもらう手続きです。夫婦間での合意が成立しなかったとしても、裁判所が離婚を認めた場合には、強制的に離婚が成立します。

裁判所によって強制的に離婚させるという、非常に強力な手続きなため、法律で定められた離婚事由(法定離婚事由)というものがない限り認められないのが特徴です。

そして、実は法定離婚事由には、「性格の不一致」という項目はありません。

ですので、裁判離婚で「性格の不一致」を理由に離婚請求をしたとしても、これによって離婚が認められることは原則ありません。性格の不一致により起因したほかの事情によって、婚姻関係が修復不可能な程度に破綻しているということを裁判所に主張する必要があります。

たとえば、性格の不一致が原因で、夫婦関係が悪化し、その結果、長期間の別居が継続していることなどがあげられます。

 

「性格の不一致」を理由に離婚したいなら弁護士に相談

「性格の不一致」を理由に離婚するとなると、協議離婚や調停離婚で合意が成立すれば離婚可能ではありますが、裁判離婚となると、必ずしも離婚が成立するとは限りません。それでも、どうしても離婚したいという場合には、離婚問題に精通した専門の弁護士に相談することをオススメします。

当事務所は、離婚問題を長年扱ってきており、実績のある弁護士が在籍する事務所です。現状で離婚が成立する見込みがどのくらいあるのか、離婚を成立させるにはどうしたらいいかなど、真摯に対応し、アドバイスいたします。相談は初回無料で時間制限もないので、お気軽にご相談ください。