第17回離婚弁護士コラム モラハラを理由に離婚できるのか

前回のコラムでは、「性格の不一致」を理由に離婚できるのかについて解説しましたが、今回のコラムでは、「モラハラ」を理由に離婚できるのかどうかについて解説したいと思います。

 

モラハラとは

近年、離婚を考える原因としてよく聞くのがモラハラ。

モラハラとは、モラルハラスメントの略語で、肉体的・物理的な暴力ではなく、精神的な攻撃・嫌がらせを指します。

暴力などの物理的な攻撃とは異なり、精神的な嫌がらせ・攻撃なため、外見からはわかりにくく、また、何がモラハラなのか判断が難しいという特徴があります。

モラハラの例の一例を挙げると下記のようなものがあります。

・大きな声でどなる
・暴言を浴びせる
・理由もなく無視し続ける
・人前で悪口を言ったり、貶める発言をする
・実家や友人等との付き合いを制限する
・電話やメール・LINE等を細かくチェックする
・生活費を渡さない
・「誰のおかげで生活できるんだ」などとおどす
・物にあたったり、机を叩くなど大きな音を立てて脅す等

 

モラハラを理由とする離婚

モラハラを理由に離婚はできるのでしょうか。

 

協議離婚

一般的に、「離婚」というと協議離婚を指しますが、協議離婚は、その名の通り、夫婦で協議をし、お互い離婚に合意し離婚するという離婚方式になります。この協議離婚では、夫婦の合意があれば、どんな理由でも法律上は離婚可能です。

しかし、モラハラを働く配偶者との協議は、相手から暴言を吐かれたり、「だからおまえはダメなんだ」と一蹴されるなど、協議自体が難しく、事実上、離婚の話し合いができないという場合が少なくありません。

夫婦で2人での話し合いが難しい場合には、家ではなく、例えば喫茶店などの外で話し合いをする(第三者の目がある場所)、冷静な第三者を交えて話し合うなどの対応が必要となります。どうしても上手くいかない場合には、弁護士に交渉を依頼するという手段もあります。

 

裁判になった場合

仮に、協議や調停で、離婚に関する合意が整わなかった場合には、最終的に、裁判で争うことになりますが、「モラハラ」は「婚姻を継続し難い重大な事由」という法定離婚事由に該当すると考えられるので、裁判で争ったとしても離婚が認められる傾向にあります。

ただ、モラハラ行為は、外形からはわかりにくい行為なため、その行為の存在を裁判で主張し、立証するのは容易ではありません。ですので、モラハラを理由として離婚を考える際には、日頃から、どんな行為があったのか、どんな暴言があったのかを日記などに書き残しておいたり、発言内容を録音するなど、事前準備が重要になります。

また、裁判とまではいかなかったとしても、モラハラを理由に離婚する際には、相手に慰謝料を請求することが可能なため、その意味でもしっかりとした証拠を残しておくことは大切になります。

 

モラハラを理由に離婚する際には、離婚に強い弁護士に相談

モラハラの相手と話し合いをするのは精神的な負担が非常に大きく、それを理由に離婚を躊躇する方も多くいらっしゃいます。弁護士に交渉を依頼すると、それ以降、交渉は原則として弁護士が行うので、精神的な負担を大きく軽減することが可能です。また、離婚を切り出すと、自身に危害が加わる危険性がある場合には、避難措置を講じることも可能です。モラハラでお悩みの方、モラハラを理由に離婚を考えている方は、まずは弁護士へ相談するのが離婚への近道です。当事務所では、モラハラ事案についても数多くの実績があり、また、無料相談を実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。