第22回離婚弁護士コラム 離婚したら苗字はどうなる?基本から徹底解説

結婚の際に、苗字を変更された方にとって、離婚後に旧姓に戻すのか、そのままの苗字を利用し続けるのかは大きな悩みです。特に、子どもがいる場合には、子どもへの影響も考慮する必要があるため、より大きな悩みとなります。今回のコラムでは、離婚時に苗字はどうなるのかについて基本から解説したいと思います。

 

離婚と苗字

相手方の姓に名前を変えていた方は、離婚の際、結婚前の旧姓に戻すかどうかを選択できます。婚姻の際には、夫婦どちらかの姓に統一する必要がありますが、離婚の際には、どちらの姓を利用するのか選択できるのです。

 

離婚後、旧姓に戻す方法

結婚したときに苗字を変更した方は、原則として、離婚をすると婚姻前の旧姓に戻ることになります。離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」という欄で、自身を選択してチェックをすれば自動的に姓は旧姓に変更され、特別な手続きは不要となります。

旧姓に戻す場合、婚姻前の戸籍(両親の戸籍)にもどるか、自身を筆頭者とした新しい戸籍をつくるか選択できますが、両親が他界しているなどにより戻るべき戸籍がなくなっている(除籍)ケースでは、必然的に、自身を筆頭者とした新しい戸籍を作ることになります。

 

離婚後もそのままの姓を利用する方法

婚姻時の氏をそのまま利用し続けたい場合には、離婚日より3ヶ月以内に、本籍地または住所地のいずれかの市区町村窓口に「婚氏続称届出」を提出する必要があります。

これにより、離婚後も、婚姻時の姓を利用できることになります。戸籍については、自らを筆頭者とした新しい戸籍を取得することになります。

「婚氏続称届出」の提出期限を過ぎた場合には、旧姓に戻ってしまい、どうしても姓の継続利用を望む場合には、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行うことになります。家庭裁判所への申立ては、必ずしも許可がでるのものではなく、また手続き的ハードルも高くなるので、期限には注意が必要です。

 

離婚後の子どもの苗字はどうなるのか

夫婦が離婚したとしても、子の苗字はそのままでは特に変更はありません。例えば、婚姻時に夫の姓を名乗っており、離婚後、妻が旧姓に戻り、子の親権者が妻となっていたとしても、子はそのまま夫の姓のままです。「自身が旧姓に戻り、親権も獲得してるから子も自分の姓になる」と誤解しがちなので注意が必要です。戸籍に関しても、両親の離婚により、当然に移動するわけではないので、母親が旧姓に戻り、母親が親権者となったとしても、子は父親の姓で父親の戸籍に入っているという状態になります。

 

子どもの苗字・戸籍を変更する方法

まず、離婚の際に、自身を筆頭者とする新しい戸籍を作成します。次に、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に子の氏の変更許可の申し立てを行い、家庭裁判所で審査を受け、変更許可を得る必要があります。変更許可を受けると「許可審判書」という書面が交付されますので、その書面と、新しい戸籍に入る書類である「入籍届」を市区町村窓口に提出すると、子どもの苗字が変更され、自身の戸籍に子が入籍されることになります。

 

離婚後の苗字でお悩みの方は早めに弁護士に相談という手段も

離婚後に苗字をどうするのかというのは、大きな悩みであり、特に子どもがいる場合には慎重になるのが心情です。後に姓を変更するとなると、家庭裁判所での許可のハードルが高くなり、困難になってくるので、慎重な判断が必要となります。

どうしても、判断が難しいという場合には、戸籍や身分関係書類などの苗字は変更しつつも、仕事上などで用いる苗字は別の通称を使用するという手段もあります。

当事務所では、数多くの離婚案件に携わってきた離婚問題に強い弁護士が、離婚時のみならず、その後の生活を踏まえたサポートをいたします。初回無料にて、相談を受けておりますので、離婚後の苗字でお悩みの方はお気軽にご相談ください。