第36回離婚弁護士コラム 財産分与の額ってどう計算するの?財産分与の基本となる1/2ルールについて

離婚とは切っても切れない財産分与。その額が実際どのくらいになるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、財産分与の額の計算方法、いわゆる1/2ルールについて解説したいと思います。

 

財産分与の基本は1/2ルール

財産分与とは、夫婦が離婚するに際して、婚姻中に築き上げた財産を分け与えるよう請求することをいいます。

婚姻期間中の夫婦の財産は、夫婦互いの協力によって形成・維持されてきたはずなので、その貢献度に応じて公平に分配すべきというが財産分与の基本的な考え方になります。

お互いの協力によって形成・維持された財産をその「貢献度」に応じて分けるのですが、原則として、その貢献度は、収入とは無関係にお互い1/2と考えることになります。

例えば、夫が仕事でお金を稼ぎ、妻は専業主婦であったとしても、夫の稼ぎは妻の支えがあったから安心して仕事に専念できたことによる稼ぎと考えられるため、貢献度はそれぞれ平等に1/2とするのが、いわゆる「1/2ルール」になります。

また、お互いの維持・形成によって築き上げた財産を分配するという趣旨からは、財産の名義が誰であるかは関係ありません。

例えば、不動産を購入し、その名義が夫名義であったとしても、財産分与の際には、夫と妻で1/2ずつに分けるのが原則になります。

財産分与の基本については
第11回離婚弁護士コラム 基本から学ぶ離婚とは切り離すことのできない財産分与について」をご覧下さい。

 

1/2ルールの例外

1/2ルールは、現在の裁判で広く用いられている考え方ですが、財産分与のそもそもの趣旨は、財産の公平な分配であり、貢献度は便宜的に平等に1/2としていますが、寄与度が異なる「特段の事情」があれば、それを根拠に1/2ずつ以外の分配が可能です。

配偶者の協力とは無関係に、婚姻前から個人の努力によって身に付けていた特殊な技能や才能によって多額の収入を得ているような場合にまで、一律に貢献度を1/2とするのはかえって不公平な結果となってしまうからです。

例えば、医師であったり、スポーツ選手であったりすると、その者がもとから有する技能・才能によって、財産を築き上げた側面が強いため、寄与度を多く認めることになります。

 

別居後の財産は分与しない(財産分与の基準時)

財産は常に増減するものですが、財産分与はいつの時点を基準に財産を評価するのでしょうか。

基本的には、財産分与は、「離婚時」が基準時となります。つまり、離婚時に存在する財産が、分与の対象となります。また、価格が変動する財産についても基準時の価格をもとに計算します。

離婚の際に、前段階として別居するという夫婦が少なくありません。その場合には、別居時に存在した財産が、財産分与の対象となります。つまり、別居が相当期間に渡った場合、その間に形成された財産は、お互いの協力によって形成されているわけではないので、特有財産として財産分与の対象にはなりません。

特有財産について詳しくは
第12回離婚弁護士コラム 財産分与の対象にならない特有財産とは」をご覧ください。

 

財産分与でお悩みの際は弁護士に相談

財産分与の際、どのように財産を分配するのか、その基本的な計算方法を解説しましたが、実際の事案では、構成する財産や、それを維持・形成してきた経緯、夫婦それぞれの事情など、複雑に要素が絡み合います。それらの要素を特別な寄与として主張し寄与割合の増減をしたり、また夫婦間の事情を考慮した適切な額を導き出すのは、一筋縄ではいきません。

「実情を反映していない予想外の額を財産分与として請求されてしまった」、「本来貰えるであろう額の請求に応じてもらえない」などでお困りの際には、離婚問題・財産分与に強い弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所では、離婚問題、財産分与について、数多くの問題を解決してきた実績があります。財産分与でお悩み・お困りの方は、初回無料にて相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。

参考:当事務所の解決事例
【解決事例】離婚の際に、多額の財産分与を請求されたが、半額以下に減額した事例