第40回離婚弁護士コラム モラハラによる離婚でも慰謝料はもらえます

モラハラという言葉が一般化し、モラハラを理由とする離婚の相談をされる方が当法律事務所にも多くいらっしゃいます。相談される方の中に、モラハラによる離婚の際にも、慰謝料をしっかりとれる旨を説明すると驚かれる方も少なくありません。今回のコラムでは、モラハラ離婚と慰謝料について解説したいと思います。

 

モラハラと慰謝料

モラハラとは、モラルハラスメントの略語で、肉体的・物理的な暴力ではなく、精神的な攻撃・嫌がらせを指します。

肉体的・物理的な暴力は、目に見えるわかりやすいものであるのに対して、モラハラは、精神的な嫌がらせであり、目に見えない・わかりにくいものであるためか、なんとなく慰謝料は取れない、または、取れたとしても少額なのではないかと思われがちです。

さらに、慰謝料といえば、不倫慰謝料がその代表格として存在するため、意外と知られていないのがモラハラによる慰謝料なのではないでしょうか。

そもそも、慰謝料とは、精神的苦痛を受けた場合に、その苦痛に対して支払われる損害賠償のことを言いますので、モラハラによって精神的苦痛を受けていれば、当然慰謝料の請求が可能です。

 

モラハラ慰謝料の相場

モラハラ慰謝料の相場は、50万円~300万円とされています。一般的に離婚慰謝料の相場は100万円~500万円とされているため、やや少額な傾向にはありますが、それでも100万円以上の慰謝料をとれるケースも多くあります。

 

モラハラ慰謝料の裁判例

 

妻に心無い発言を繰り返し250万円の慰謝料

10年以上、妻に対して心無い発言を繰り返していた夫に、250万円の慰謝料の支払が命じられた事例。[東京地判 平成17年3月8日 判例秘書06030953]

 

妻への思いやりのなさで100万円の慰謝料

「妻への思いやりのなさ」を理由として、慰謝料の支払が命じられた事例。暴言を吐いたり、侮辱したりする積極的なモラハラだけでなく、「思いやりがない」という理由のモラハラでも慰謝料は取れます。[東京地判 平成16年12月16日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい]

 

妻への侮辱的振る舞いで 350万円の慰謝料

350万円の慰謝料と高額なケースもあります。ただ、このケースでは、不倫を理由とした離婚裁判であり、その慰謝料の算定要素として、モラハラの事実が重視されました。[東京地判 平成17年5月13日 判例秘書06031839]

 

モラハラで慰謝料を請求する際には証拠が大事

モラハラを理由として離婚する際や、慰謝料を請求する際に大切なのが、それらの交渉を有利に進めるための証拠集めです。

モラハラは身体的な暴力をふるわれるわけではないので外傷が残らなかったり、その多くは家庭内で発生するため外からはわかりにくいため、それを証明するための証拠をしっかりと集めるのが大切です。

説得力のある証拠を残すためには
■暴言や侮辱を受けた際の音声をスマホなどで録音しておく
■物をこわしたり、テーブルなどを強く叩いたりする様子を録画する
■暴言や心無い対応がわかるLINEやメール等のやりとりを保存しておく
■モラハラを受けた際に、日記やメモなどの形で継続して記録する
などの対応が有効です。

特に、日記やメモなどを継続的に、かつ、詳細に記録しておくことで、相手のモラハラが日常的にあることや、その頻度が高いこと、また、長期間に及ぶことなどを証明することができるので、より効果的となります。

 

モラハラで離婚、慰謝料請求は弁護士へ相談

モラハラ夫(妻)と、離婚や慰謝料の交渉を行うのは、精神的な負担が大きく、また、当事者間の話し合いだと、その場でもモラハラ的言動が繰り返されるおそれもあります。実際に、当事務所に相談に訪れる方の多くは、「モラハラ夫(妻)と話し合うのもうんざり」、「モラハラ夫が怖くて自分では離婚を切り出せない」、「2人きりでの話し合いだと、まじめに取り合ってもらえない」など、話し合い自体が難しいというケースも少なくありません。そのような場合には、モラハラ問題に強い弁護士を活用することで、自身で交渉するという負担を軽減し、慰謝料交渉などもスムーズに行うこともできます。

当事務所は、離婚問題、モラハラ問題に関する数多くの解決実績を有する弁護士が、皆様のお悩みに真摯に向き合い、より良い解決へと導くサポートを全力でいたします。初回相談は無料で、時間制限もないため、じっくりと皆様の悩みについて聞くことができます。モラハラでお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。