第6回離婚弁護士コラム 不倫された場合のベストな離婚タイミングとは

昨今、不倫は夫婦の問題の一つとなっており、ご相談も年々増加傾向にあります。

あなたの配偶者が不倫していることが発覚し、離婚を決意された場合、どのタイミングで離婚するのがいいのでしょうか?離婚は、人生の一大決心であり、今後の人生を左右するものになるため、ベストなタイミングで離婚するのが人生の再スタートを切るためにも重要です。今回のコラムでは、弁護士目線で、不倫された場合のベストな離婚タイミングについて解説したいと思います。

 

不倫と離婚の関係

まず、不倫と離婚について基本的なことから説明します。配偶者が不倫した場合、その不倫した配偶者は法律上「有責配偶者」と呼ばれます。呼んで字のごとく、婚姻関係破たんの原因について主たる責任のある配偶者のことをいいます。この有責配偶者の方からの離婚の請求は原則的にできません。

他方、あなたから見ると不倫は、法律上の離婚原因となるため、仮に有責配偶者が離婚協議に応じなかったとしても、離婚訴訟をすることによって裁判で離婚が認められることになります。

 

不倫された場合のベストな離婚タイミング

では、離婚するベストなタイミングはいつなのでしょうか。

これは、夫婦の従前の関係や不倫の内容、子の有無、財産の状況、就職の有無などによって変わってきますが、およそ以下のタイミングがよいと思われます。

・離婚したとしても独立して生活ができる環境がある
・相手方が不倫を認めなかったとしても、裁判で勝てるだけの証拠がある
・夫婦相互の財産の内容を把握できている
・不倫配偶者の仕事の状況が安定している
・子に対する影響が少ない

以下ひとつひとつ具体的に解説していきます。

 

1.離婚したとしても独立して生活ができる環境がある

離婚した場合、慰謝料や財産分与をもらえる場合もありますが、基本的には自分一人で生活していく必要があります。そのため、離婚前から独立した生活を送れるように準備しておく必要があります。たとえば、離婚前に就職活動を行って仕事を見つけたり、住む家を探したりするなど不倫配偶者の経済力をあてにしなくても生活できる状態を形成しておくのがよいでしょう。

 

2.相手方が不倫を認めなかったとしても、裁判で勝てるだけの証拠がある

仮に不倫配偶者が不倫の事実を認めずに裁判になった場合、状況証拠だけでは、不倫が認められない可能性があります。そのため、口頭では不倫を認めていたとしても、不倫したことが客観的に証明できる証拠を確保しておくことが重要です。

よく、配偶者が不倫を認めているから証拠はなくても大丈夫という方がいらっしゃいますが、実際に裁判などになった場合に様々な理由で不倫を認めないことも多く、その段階ではすでに証拠を集めることはできなくなっているため、事前に収集しておくことにこしたことはありません。

 

3.夫婦相互の財産の内容を把握できている

離婚交渉の際には、財産分与の話をすることになりますが、他方に隠している財産がある場合も少なくありません。また、隠さないまでも法的手続きになった後に財産の開示を渋る場合も少なくありません

そこで、離婚交渉に着手する前に、ある程度相手の財産を把握しておくことによって、離婚を円滑に進められる要因になります。

 

4.不倫配偶者の仕事の状況が安定している

離婚する場合、別居などを経て離婚することも多く、その場合、相手方から生活費(婚姻費用)をもらう場合があります。また、養育費・慰謝料や財産分与をもらうためにもある程度相手に資力が必要となってきます。

全く安定していない仕事をしている場合や不安定な状況下での離婚より、安定している仕事についている方が離婚後の生活の保障をしてくれる可能性が高く、重要な要素の一つとなると思います。

 

5.お子様に対する影響が少ない

離婚する以上、その前後でお子様への影響が全くないということは難しいです。他方で夫婦関係が悪化している状況をずっと続けたままお子様と共に生活していくのも影響があります。

お子様の年齢にもよりますが、生活環境や年齢などを踏まえて、幼い場合はできるだけ早く、比較的成熟している場合はより一層準備してどのタイミングがよいか見極める必要があります。

 

離婚は重大な決断である以上、離婚に強い弁護士へ

離婚という重大な決断である以上、だれにも当てはまるベストなタイミングというものはありませんが、今回のコラムでは、その目安として考えて頂けたらと思います。また、個々の状況によって、ダメなタイミングはありますのでその判断にもご活用ください。

自分だけのベストな離婚タイミングを選ぶために経験と実績をもつ弁護士に相談することをお勧めします。