子どもの連れ去り問題について(監護権)

弁護士法人やなだ総合法律事務所では、昨今、共同親権等の法令改正の呼び声もあり、問題化されている子供の連れ去り問題や子の引き渡し・監護権者指定の審判、審判前の保全処分等といった監護権の問題についても今まで多くのご依頼をいただいてきました。

子どもの監護権に関する問題については、手続き上ブラックボックスのことが多く、取り扱い実績がそこまで多くない弁護士が多いと思われます。

というのも、子供の連れ去り問題や監護権者指定の問題は、一般的な離婚における親権とは異なり、迅速適切な手段を講じる必要があるにも関わらず、その実務的な知見は実際に取り扱ってみないと分からない部分が多く、また、弁護士の依頼までに発展するケースが離婚より少ないため、取り扱いをしたことがあまりない法律事務所も多いと思われます。

弊所では、離婚問題のみならず、子供の監護権をめぐる紛争について、多くのご依頼、ご相談を受けてきました。

子どもの監護権をめぐる紛争において、弊所で何よりも大切にしていることは、子供の健全、平穏な生活、成長であり、子供の福祉を第一優先に考えています。

子どもの監護権に関する争いでは、たとえご相談者様やご依頼者であったとしても、子供の福祉を最優先して考えてご依頼者が希望する結果とは反対の内容を説得する場合もあります。

他方、ご相談者様の希望がそのまま子供の福祉にかなうとすれば、弊所の知識や経験を最大限使って、全力でサポートして参ります。

 

手続き

子どもの監護権をめぐる争いにおいて、必要な手続きは主に以下の手続きになります。

① 任意での監護権又は子の引き渡しの交渉

② 子の引き渡し・監護権者指定の審判及び審判前の保全処分

③ 強制執行(直接強制・間接強制)

しかし、実際に①において話し合いがつくケースはほとんどなく、弊所に相談にくるご相談者様は大体②の状態からスタートすることになります。

というのも、基本的に子供の監護権をめぐる争いでは、夫婦での話し合いがつかず、他方配偶者の了承を得ずに、子供を連れて別居が開始されることに端を発します。

そのため、任意での交渉はほとんど意味がなく、むしろ、子供が連れ去れた側からすると任意交渉によって、相手に監護実績ができてしまうため、任意交渉すること自体が後々悪影響を生じさせるおそれすらあります。

 

審判申立てについて

子どもを連れ去れてしまった側からすると、最も大切なのは連れ去れてしまってからどれくらい早く、子の引き渡し・監護権者指定の審判及び審判前の保全処分の申立てをするかが重要になってきます。

ここで、子の引き渡し・監護権者指定の審判は「本案」、審判前の保全処分は「保全処分」といったりしますが、何が違うかというと、裁判所に審理に係る時間が最も異なります。

いわゆる本案のみの場合は、最初の裁判所の決定が出るまでに優に6か月~1年以上かかることも少なくなく、子供が連れ去れた側からすると到底許容できる年月にはありません。

保全処分は、本案より圧倒的には早く、とは言っても2~3か月かかるところ、最も違う点は、一審で勝てさえすれば、強制執行することが可能という点です(執行停止をされる場合もあります。)

そのため、保全処分を申し立てるケースが多くなり、また、その準備に要する日数も7日以内くらいに申立てすることが多いため、相談は1日でも早い方が保全処分の可能性を引き上げます。

裁判所の判断の要素

では、実際に裁判所は本案や保全処分でどういったところで、子供の監護権者がどちらにふさわしいと判断するのかという点が問題になります。

これは本案と保全処分で多少異なっており、もちろん各個別のケースによって変わってきますが、基本的には

保全処分は、子供の連れ去りに「違法な強制的な奪取又はこれに準じた行為があったか否か」と現に子供に「虐待や育児放棄」などの生命等に危険が生じているかどうかが重要な点になってきます。

逆に、どれだけ他方に監護権者として優れた点があったとしても、上記2点がない限り、保全処分が認められる可能性は低いことになります。

他方、本案では、どちらが監護権者として適切か、別居前の第一監護権者はどちらであったか、現在子供はどちらの元にいるか、が重要視されるケースが多いです。これは、裁判所が選任した調査官による調査で明らかになるケースが多く、その分、裁判所の判断の決定が遅くなる要因となっています。

最後に

子供の監護権をめぐる争いについては、連れ去りがあった時又は自分が子供を養育している最中、相手より子の引き渡し審判等を申立てされた際には、すぐさま弁護士に依頼することを強く推奨いたします。

監護権をめぐる情報はインターネット上にもあまり詳細に書かれているものは少なく、しかも実務的に判断や考えが難しい、又は経験が重要視されるケースが多いと思います。

理論上は、ご自身でも可能ではありますが、適切な経験がない場合は、本来ではあれば実現できた内容も実現できない可能性が高まっていきます。

弁護士法人やなだ総合法律事務所では、子の引き渡し、監護権者指定、審判前の保全処分、強制執行について、多くの実績と経験がありますので、まずは一日でも早いご相談を。