離婚に関するよくある相談

  • 性格の不一致だけの理由で離婚はできますか?

    相手方に帰責事由が無く、単に性格があわないとの理由での離婚は、裁判所が直ちに離婚を認めない傾向にあります。 しかし、夫婦関係が修復不可能なほど破たんしている状態であれば、離婚原因になります。たとえば別居期間がある程度長期間に及んでいた場合などに、裁判所は離婚を認める傾向にあるといえます。

  • 離婚する際には、書類を作成する必要があるのですか?

    離婚協議書や公正証書は離婚手続きにおいて必ずしも必要なものではありませんが、口約束だけでは離婚後のトラブルの原因になります。離婚時の取り決めごとを書面にしておくことで離婚後のトラブルを最小限に抑えることができます。そのための書面として離婚協議書、公正証書を作成することは有益といえます。

  • 離婚すると、私の名字はどのようになりますか?

    結婚によって名字を改めた者は、離婚すると結婚前の名字に戻ります。ただ、結婚期間が長い場合、離婚により結婚前の名字に戻ることが不都合なこともあります。そこで、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出すれば、結婚中の名字をそのまま使用することができます。この届は、離婚届と同時に提出することもできますし、離婚の日から3か月以内に提出することもできます。

  • 私は、夫の戸籍から除かれて、新しく自分の戸籍を作りました。子どもを親権者である私の戸籍に入れることはできますか?

    離婚をしても、何も手続きをとらなければ、子どもは、結婚中つまり元夫の戸籍に残ります。子どもをあなたの戸籍に入れるためには、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申立てをして、許可を受けた上で、市役所等に入籍届を提出し、あなたの戸籍に入れる手続きをする必要があります。なお、あなたが旧姓に戻らなくても、子の氏の変更許可の申立ては必要となります。以上の手続きは、それほど大変ではないので、家庭裁判所にてご自分でなさっている方も多いです。

 

養育費に関するよくある相談

  • 養育費を相手方が支払ってくれない場合、どうしたらよいですか?

    まずは内容証明郵便などにより相手方に支払うよう催告する方法があります。それでも相手方が支払いに応じない場合は、強制執行の手続きを検討することになります。もっとも、単に口約束などの場合は、改めて調停を起こす必要がありますので、取り決め内容を公正証書などにしておくことが重要です。

  • 離婚するときに「養育費はいらない」って言ってしまったが、後から養育費を請求することはできるのでしょうか?

    養育費はあくまで子供の為のものなので、親権者が勝手に放棄することはできません(事実上受け取らないことは可能です)。そのため、仮に親権者が養育費を放棄していたとしても後から養育費を請求することはできます。

  • 養育費をさかのぼって請求することはできるのでしょうか?

    養育費は原則、支払の請求があったときから支払ってもらえます。そして、請求があったときとは、裁判実務では養育費支払い調停の申立てがあった時や内容証明などで請求の意思が明確になった時とされる場合が多いです。

  • あとから養育費の変更は可能なのでしょうか

    養育費の金額を決めた後にどちらか一方の事情が変わった場合、養育費の増減額請求ができます。例えば、収入の減少・増加、失業・再婚など、経済的事情が大きく変化した場合には、養育費の増額や減額が認められます。

 

親権に関するよくある相談

  • 有責配偶者でも親権を獲得することはできるのでしょうか?

    たとえ不貞行為を行ったとしても、親権者の判断に直接の影響があるというわけではありません。もっとも不貞行為が子どもの監護に悪影響を与えたといった事情があれば、親権者の判断にも影響します。

  • 親権者を定めるにあたって、子供の意思は関係あるのでしょうか?

    親権者を決めるにあたり、子どもの意思は重要な判断材料の一つです。ただ、幼い子どもは、親や周りの影響を受けやすく、周りから言われるがままに話しをすることも多いです。裁判所は一般的に、概ね満10歳以上になりますと、子どもの意思を尊重する傾向にあります。

  • 父親でも親権を取得できるのはどのような場合ですか?

    調停や裁判になった場合の多くの場合、親権者は母親の方に決まることがほとんどです。そのため、何か母親の方では親権者として相応しくないような事情(DV、薬物・アルコール依存など)がある場合は、父親の親権を認められる可能性が高くなります。また、概ね10歳くらいを超えるお子さんの場合は、子供の意思が重要視されるので、父親についていきたいと強い意志がある場合なども父親でも親権を獲得できる可能性が高くなります。

 

面会交流に関するよくある相談

  • 子供との面会交流を拒否された場合はどうすればいいですか?

    当事者間で面会交流についての取り決めがなければ、面会交流の調停を申し立てることができます。
    また、すでに取り決めがある場合は、履行勧告、間接強制、損害賠償請求などができます。

  • そもそも面会交流ってなんですか?

    面会交流とは、離婚後に親権者や監護者とならなかった親が子どもと面会して一緒に時間を過ごしたり、電話や手紙で連絡を取ったりすることをいいます。また、夫婦が別居中に、子どもと面会などすることも面会交流といいます。

 

財産分与に関するよくある相談

  • 離婚したあとにも財産分与の請求はできますか?

    財産分与の請求は、離婚のときから2年以内であれば請求することができます。なお、結婚前に蓄えた預貯金や結婚前に購入した家具、相続や贈与により得た財産、婚姻中に相続や贈与により取得した財産は、財産分与の対象となりません。

  • いくら預金があるのかわかりませんが調べることはできるのでしょうか?

    まずは相手にどこの銀行にいくらあるのか問い合わせます。仮に相手が答えようとしなければ、弁護士会を通じて銀行に問い合わせる23条照会という方法や裁判所から銀行に問い合わせる調査嘱託という方法があります。

  • 離婚後も借金の負担をしなくてはならないのでしょうか?

    まず、結婚生活をおくるにあたって作った借金ついては、財産分与の際に考慮される可能性があります。これは、夫婦や子どもの生活に必要な借金は、夫婦それぞれが連帯して責任を負うことが公平と考えられているためです。そのため、借金の名義人でない側の配偶者も財産分与の際に考慮されたり、実質的に負債を負担する可能性が出てきます。

  • 住宅ローンが残っている不動産はどうやって財産分与するのでしょうか?

    不動産を取得する者がローンの支払名義人である場合には、そのまま名義人が支払いを続けることになります。一方、支払名義人でない者が不動産を取得する場合には、金融機関と相談して支払名義人を変更してもらうか、または支払名義人が支払いを続けるかを決めることになります。

  • 住宅を財産分与する際に税金はかかりますか?

    1 財産分与される方
    贈与税及び不動産取得税は原則としてかかりません。財産分与は、本来的に夫婦それぞれが持つべき財産の清算であり、新たに財産を取得したわけではないからです。もっとも、もらった財産の額が結婚中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮しても、なお多過ぎる場合は贈与税や不動産取得税がかかります。なお、不動産の名義変更に係る登録免許税や固定資産税はかかります。

    2 財産分与する方
    土地や建物などの不動産を譲渡した場合に譲渡所得税がかかる可能性があります。財産分与の場合、財産の譲渡時の金額が、取得した際の金額よりも高額になっている場合です。

 

婚姻費用に関するよくある相談

  • 過去の婚姻費用を求めることはできますか?

    婚姻費用が認められるのは、原則婚姻費用分担調停を申し立てた後の分になります。ただし、過去の未払婚姻費用については、離婚の際の財産分与を決める上で考慮されると場合があります。

  • 妻の浮気が原因で別居中なのに、婚姻費用は支払う必要があるのでしょうか?

    婚姻費用とは、夫婦の収入・財産に応じて夫婦が社会生活をするために必要な一切の生計費のことで、衣食住の費用、子どもの教育費、水道光熱費等が含まれます。そして、その金額は基本的に裁判所が作成したいわゆる「算定表」による算定方式が定着しています。子供の生活費も含まれており、仮に妻の浮気が原因で別居したとしても原則として、婚姻費用の算定では考慮されません。もっとも、慰謝料で考慮されるべき事項となりますので、妻に対する慰謝料請求を検討していただくことになります。