離婚訴訟中の和解

一般的に離婚事件のほとんどは、協議での離婚または調停での離婚で決着がつくことが多いです。
離婚訴訟にまで発展するケースは、離婚全体の1~2%程度しかありません。

ただ、離婚訴訟に発展したケースでも訴訟の間に和解の話がでることがあります。
裁判官から直接和解の話の提案をされる場合もあれば、当事者のどちらか一方から和解を提案してくる場合もあります。

このように、離婚訴訟中に和解の話が出ると、相談者の方から和解するなんて到底できないとの話がよくあります。
「和解すること自体」に対して、訴訟にまで発展した相手と和解することに抵抗感を持たれる方が多いのではないでしょうか。

一般の方のイメージでは「和解」というと、相手方を許したようなイメージがあり、わざわざ裁判をして双方の言い分の判断を裁判所に下してほしい、と思っていた方にはなかなか受け入れ難いのかもしれません。

しかし、裁判での和解は(これは離婚訴訟に限らずですが)、相手方を許したり、仲直りをするというものではありません。
訴訟における和解とは、争点に対する判断を保留しつつ、主に金銭面での条件の折り合いをつけて、訴訟を終わらせることです。

この場合、裁判所は、それまでの訴訟活動等で一定程度の心証(どちらの主張が正しいか裁判官の内心)を抱いている場合が多く、その心証がそのまま和解条件に反映されることがあります。

そのため、和解とは、確かに一定の妥協(こちらが主張していることがすべて認められるわけではなく、一部の内容との意味です)が必要ではありますが、和解とは単なる条件の調整たる交渉または契約に近いものと考えた方がいいと思います。

しかも、和解には判決には無い利点もあります。

たとえば、判決ではあくまで原告が求めている請求に対する判断が下されるだけです。(「金100万円を支払え。」「原告と被告は離婚する。」など)

一方、和解では、請求していること以外の事項も和解条項に入れて一挙に解決することが可能です。

離婚訴訟に関して例を挙げると、子どもとの面会交流の条件や接触禁止条項、口外禁止条項なども入れることが可能です。

加えて、判決で勝ったとしても相手方は控訴、上告することができ、確定するまでかなりの日数を要する場合がありますが、和解した場合は、和解に対する異議は基本的には唱えられないため、その時点で事件が終了します。

和解にもメリットは多くあるため、離婚訴訟に至ったとしてもひとまず和解の話があった場合は、早期解決や柔軟な事件解決のため、一度は検討してみることをお勧め致します。