第38回離婚弁護士コラム 離婚前に別居する際の注意点について

離婚の前段階として、DVやモラハラから避難する目的や「もう相手の顔も見たくない」などの理由から、「別居」される方が多くいます。実際に、当法律事務所に「別居したい」、「既に別居している配偶者と離婚したい」という相談が多く寄せられます。今回のコラムでは、離婚前に別居する際の注意点について解説したいと思います。

 

離婚前の別居には注意が必要

「相手からDVやモラハラを受けている」、「子どもへの虐待がある」などのケースでは、早期に別居すべきですが、「相手と価値感が合わない」、「なんとなく冷めてしまった」などのケースで、安易に別居してしまうのはリスクを伴うことがあります。

 

「同居義務違反」の危険性

民法第752条では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定めれており、夫婦には、一緒に暮らす同居義務や互いに助け合う相互扶助義務というものが課されています。

つまり、正当な理由がないのに、一方的に別居を強行すると、「同居義務」違反として、離婚原因を作った有責配偶者に自身がなってしまったり、慰謝料を請求される危険性があります。自身が有責配偶者となると、その者からの離婚請求は認められにくい傾向にあります。

有責配偶者からの離婚請求について詳しくは
第21回離婚弁護士コラム 有責配偶者からの離婚請求は認められるのか」をご覧下さい。

仮に別居自体は問題がなかっとしても、別居中も夫婦には「相互扶助義務」があるため婚姻費用を負担する義務を負います。ですので、例えば、相手が専業主婦などで、収入がない場合には、婚姻継続中は、相手に婚姻費用として生活費を支払う義務があります。

もちろん、相手が暴力を振るうなど、別居することに正当な理由がある場合には、同居義務違反にはなりません。

・相手が不倫している
・相手との関係が冷え切っていて家庭内別居状態である
・別居することに相手が同意している

などの事情がある場合も、同居義務違反は問題になりません。

 

不倫・浮気の証拠収集が困難になる

相手が不倫しているという状況の中で、同居し続けるのは苦痛であり、別居を望むのは心情です。しかし、別居すると、物理的に相手の状況を把握することが困難になり、いざ慰謝料請求をしようと思っても、そのための証拠収集が困難になってしまうケースがあります。

早期の別居を望むか、慰謝料をしっかりと請求するのかは、判断が難しいですが、一般論として、ある程度落ち着いた状況になると、「相手からしっかりと慰謝料をとりたい」と思うケースが多いように思われますので、不倫が原因で別居する場合には、確固たる不倫の証拠を掴んだ上で別居することをおすすめします。

 

離婚前に別居する際には弁護へ相談

離婚前に別居する際には、それ自体が同居義務違反にならないか、また、後に控える離婚に関する交渉、慰謝料を請求する際の証拠収集など、その後を見据えた判断が必要となるケースが多くあります。

別居する前に、離婚問題に詳しい弁護士に相談することによって、安心して別居生活をスタートすることができ、また、場合によっては相手から婚姻費用として生活費を請求しつつ、経済面での不安を払拭することができるケースもあります。

当事務所では、数多くの離婚問題に携わってきた経験豊富な弁護士が、離婚に関する無料相談を受けております。離婚前の別居でお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。