第49回離婚弁護士コラム 離婚後の共同親権を認める改正法が成立

5月17日の国会で、離婚後の共同親権を認める民法改正案が可決しました。改正法は2年後の2026年までに施行される予定ですが、今回のコラムでは、そもそも共同親権とは何か、今回導入されることになった離婚後の共同親権のポイントなどを解説したいと思います。

 

そもそも親権って何

親権とは、未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、その子を代表して法律行為をする権利・義務のことをいいます。未成年の子を養育監護し、日々の世話をし、子の財産を管理する権利があり、それは義務でもあるというのが親権になります。

簡単に言うと、未成年の子は、未成熟であるがゆえに、親が身の回りの世話など様々な面倒を見て養育しなければならないないし、また、契約を結ぶなどの法律行為を判断能力が不十分な子に代わって親が行うというのが親権ということになります。

 

共同親権と単独親権

現行法では、婚姻中は、夫婦が共同して親権を行使しますが(共同親権)、離婚する際には、母親または父親のどちらが親権者となるのかを決める必要があります(単独親権)。婚姻届にも親権者の記載欄があり、その記載がない限り離婚届は受理されません。

つまり、現行法では、夫婦の婚姻中は、夫婦が共同して親権を行使する共同親権となっていますが、離婚の際には、母親・父親のどちらか一方が親権者となる単独親権となっています。

なお、離婚により親権者とはならなかった親も、法律上、親子関係がなくなるわけではありません。ですので、親として扶養義務を負い続けますし、親として適切に子と交流すべく、原則として、面会交流する権利も認められています。

 

離婚後も共同親権を選択可能となる

現行法では、夫婦が離婚すると、母親・父親のどちらか一方が親権者となる単独親権となっていますが、改正法が施行されると、夫婦の離婚後も共同親権を選択することが可能となります。

つまり、現行法上は、夫婦の離婚後は単独親権のみであったのが、共同親権とすることも可能となり、また、単独親権にするのか共同親権にするのか選択することが可能となるというのがポイントです。

夫婦の話し合いで離婚する協議離婚の際には、親権を単独親権にするのか、共同親権にするのかは、夫婦の話し合いで決めることになります。夫婦の話し合いで決まらない場合には、裁判所が親子の関係や養育環境等を総合的に判断し、決めることになります。

改正法施行後は、単独親権のみならず共同親権も選択可能となりますので、離婚の際の協議がより重要となってきます。

また、改正法施行前に離婚が既に成立している場合でも、改正法施行後は、家庭裁判所に申し立てを行い、単独親権から共同親権へと変更することが可能となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、そもそも共同親権とは何か、今回導入されることになった離婚後の共同親権のポイントなどを解説しましたが、いかがだったでしょうか。離婚後の共同親権は、適切に運用されるならば、『子の利益』に沿う制度となりますが、他方で、離婚後もモラハラやDV等が継続してしまう等の懸念もあり、裁判所の負担が増加し、適切に対応できるのか注視する必要があります。また別の機会に、共同親権導入のメリット・デメリット等を解説したいと思います。

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