第54回離婚弁護士コラム 親権の押し付け合いと離婚
離婚の際に、父親と母親とで、親権の奪い合いになって争いなるというケースは少なくありません。他方で、「子育てに自信がない」、「仕事と育児の両立が難しい」等の理由により、お互いに親権を押し付け合うというケースも珍しくありません。
今回のコラムでは、離婚の際に親権の押し付け合いがあり、親権者が決まらない場合、どうしたらいいのかについて解説したいと思います。
親権と離婚
親権とは、未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、その子を代表して法律行為をする権利・義務のことをいいます。未成年の子を養育監護し、日々の世話をし、子の財産を管理する権利があり、それは義務でもあるというのが親権になります。
婚姻中は、夫婦が共同して親権を行使しますが、離婚する際には、どちらが親権者となるのかを必ず決める必要があります。婚姻届にも親権者の記載欄があり、その記載がない限り離婚届は受理されません。
つまり、父親と母親のどちらが親権者となるのかを決めないと、離婚することはできません。
協議で決まらない場合には離婚調停
親権の押し付け合いになり、どちらが親権者となるのか、夫婦間の話し合いで決められない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行うことになります。
離婚調停とは、親権を含む離婚に関する問題について、家庭裁判所が選任した調停委員という専門家が仲介役となって、夫婦間で話し合いを行う手続きになります。
離婚や親権と言ったセンシティブな問題に関しては、当事者同士で話し合うと、つい感情的になってしまい、まとまる話もまとまらないというケースも少なくありません。
調停では、裁判所が選任した調停委員という専門家が、当事者の間に入って、当事者双方の主張や言い分を仲介してくれますので、当事者同士が話し合う必要はありません。
また、調停は、裁判とは異なり、一方的に裁判所側が何か結論を強制することはありません。あくまで調停委員は、仲介役として働き、当事者間の合意形成をするお手伝いをするような手続きになります。
調停でも決まらない場合には審判や裁判で決める
協議や調停でも、どちらが親権者となるのか決められない場合には、最終的には、審判や裁判において、裁判所が親権者を決めることになります。
審判や裁判においては、現在の監護状況や子の意思など様々な要素を考慮しつつ、夫婦のどちらが親権者にふさわしいか、子どもの利益や子どもの幸福の観点から、裁判所が判断し、判決を下します。
おわりに
今回のコラムでは、離婚の際に親権の押し付け合いがあり、親権者が決まらない場合、どうしたらいいのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。
離婚すること自体には、当事者双方の合意があったとしても、親権者についての合意が得られない場合には、離婚することができないので、最終的には裁判になったとしても、親権者を決める必要があります。
親権は権利であると同時に義務でもあります。むしろ子どもの福祉という観点からは、義務という側面が強いとも言えます。
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