第71回離婚弁護士コラム 【2026年4月施行】親子交流はどう変わる?別居中でも会える?祖父母は?改正法をわかりやすく解説

離婚を考え始めたとき、多くの方が最初に不安を感じるのは「子ども」のことではないでしょうか。
別居したら、もう子どもには会えなくなるのか。
相手が拒んだら、それで終わってしまうのか。
あるいは、自分が子どもを監護している側であれば、「会わせなければならないのか」という疑問を抱くこともあるでしょう。
2026年4月1日に施行される改正法は、こうした親子交流(面会交流)をめぐるルールを整理し、より明確にしました。
今回のコラムでは、改正によって何が変わるのかを、離婚を考えている方の視点からわかりやすく解説します。
親子交流の「試行的実施」の整備
これまでの実務でも、いきなり定期的な親子交流を決めるのではなく、まずは一度、試しに会ってみるという運用がなされてきました。親同士の対立が強い場合や、長期間交流が途絶えている場合には、子どもの反応を確認することが大切だからです。
今回の改正では、このような「試行的実施」が制度として明確に位置づけられます。つまり、いきなり「会わせるか・会わせないか」を決めるのではなく、子どもの様子を見ながら段階的に判断するという考え方が、よりはっきりと示されたのです。
これは、交流を求める側にとっては関係回復の糸口となる可能性がありますし、監護している側にとっても、子どもの負担を慎重に見極めながら進められるという意味があります。対立の中で白黒をつけるのではなく、子どもにとって無理のない形を探る仕組みが強調されたといえるでしょう。
離婚前でも別居中であれば親子交流は問題になる
「まだ離婚していないのだから、親子交流の問題は離婚後の話ではないか」と思われる方もいます。しかし、離婚前であっても、別居が始まった瞬間から、子どもとどのように関わるかという問題は現実のものになります。
これまでも、婚姻中であっても別居していれば親子交流を求めることは可能でした。ただ、その位置づけは必ずしも明確ではなく、監護している側の判断が事実上強く働く場面も少なくありませんでした。
改正前の法律では、離婚後の親子交流については定めがありましたが、婚姻中別居している間の親子交流については明文の規定がなかったからです。
今回の法改正では、婚姻中に父母が別居した場合にも「子の利益」のために親子交流について必要な事項を父母が協議で定める必要があることが明確に規定されました。
改正法のもとでは、婚姻中であっても別居している以上、親子交流が検討の対象となることが明確化され、また、その判断の軸は一貫して「子どもの利益」となっています。もう一方の親との関係を維持することが子どもの成長にとって意味を持つのであれば、何らかの形で交流を模索することになります。
祖父母と孫の交流
離婚後、父母以外の親族と交流を持つことが、子の健全な発達にとって重要であると考えられるケースがあります。今回の改正では、子の利益のため特に必要があると認められるときは、家庭裁判所が父母以外の親族と子との交流の実施を定めることができるようになります。
父母が原則として子の交流の決定権を持つことを前提としつつも、子の利益を優先するために、父母以外の親族との交流についても裁判所が関与できる道を開いたものです。
父母以外の親族として典型的なのは祖父母です。
改正法のもとでは、一定の場合に父母以外の親族との交流も検討の対象となり得ることが示されましたが、これも無条件に認められるわけではありません。あくまで中心にあるのは「その交流が子どもの利益にかなうかどうか」であり、「子の利益のため特に必要があると認められるとき」という要件が課されていることには注意が必要です。
祖父母の思いがどれほど強くても、子どもの生活の安定を損なうような形であれば交流は認められません。逆に、これまで継続的な関係があり、子どもの心の支えとなってきたような場合には、その意義が考慮される可能性があります。
改正法が示す方向性
今回の改正を通して見えてくるのは、親子交流を「親の権利」として対立的に捉えるのではなく、「子どもの健全な成長のための制度」として位置づけ直す姿勢です。
会わせるか、会わせないかという単純な二択ではなく、方法や頻度、第三者の関与などを柔軟に設計しながら、子どもにとって最も負担の少ない形を探る。そのための枠組みが整えられたといえるでしょう。
もっとも、法律が整備されたからといって、すべてが円滑に進むわけではありません。実際の紛争では、親同士の感情的対立が大きく影響します。しかし、どのような場面でも最終的に問われるのは、「それは子どものためになっているか」という一点です。
離婚を考え始めた方へ
離婚や別居は、人生の大きな転機です。その中で、親子交流の問題は後回しにされがちですが、実際には非常に重要なテーマです。
特に意識していただきたいのは、別居直後の対応が将来の枠組みに影響するという点です。感情的なやりとりや一時的な判断が、長期的な親子関係に影響を及ぼすこともあります。
改正法が強調しているのは、あくまで子どもの利益です。その視点を共有できるかどうかが、今後の解決の方向性を左右します。
もし不安や疑問がある場合には、早い段階で専門家に相談し、自分と子どもにとってどのような形が望ましいのかを整理しておくことが大切です。
おわりに
2026年4月施行の改正法では、親子交流の試行的実施が制度として明確化され、別居中の親子交流の位置づけが整理され、さらに祖父母など父母以外の親族との交流も一定の場合に検討対象となり得ることが示されました。
しかし、いずれの場面でも中心にあるのは「子どもの利益」です。
離婚や別居を考えるとき、どうしても当事者同士の感情に目が向きがちです。それでも、子どもの将来を見据えた判断をすることが、結果として最も安定した解決につながります。
当事務所では、離婚・財産分与・親権等について、数多くの離婚問題を解決してきた実績があります。離婚・財産分与・親権等の離婚問題でお悩み・お困りの方は、初回無料にて相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。