お医者などの高所得者の離婚
医者や経営者などの高所得者は、財産が多く、かつ高額になるため、離婚時にもめることが多いのは、どうしても金銭面による条件で争うことが多いです。
医師の場合、一般的に、高額な収入を得ている場合が多く、さらに保有する財産の範囲が広いため、財産分与の対象となる財産を正確に算定し、かつ、適切にその金額を評価する必要があります。
特に、医師については、以下の財産の財産分与に注意が必要です。
1 動産(金属類等)、
2 有価証券(出資)、
3 退職金(将来受け取るもの)
1 動産
動産は、通常は価値の評価が難しい又は少なく、財産分与について、あまり問題とならないことが多いです。
典型例では、夫婦のどちらが希望の家財道具(例えば、テレビ、タンスなど)を手に入れるか、というレベルです。
しかし、医師の場合、夫婦の一方が、高価な時計、宝石等の貴金属を保有している場合が見られます。
したがって、これらを忘れることなく、対象財産に含めることが必要です。
そして、これらの金額(時価)を適切に算定しなければなりません。
2 有価証券
有価証券については、当事者が保有する株式等が対象となってきます。
医師の場合、自らが経営する医療法人への出資も、当然財産分与の対象となり得ます。
さらに、妻も名目上、法人へ出資しているケースが多くあります。
このような場合は、夫名義の出資だけではなく、妻名義の出資も財産分与の対象となり得ます。
しかも、医療法人への出資は、当該医療法人が不動産(医院)等の高額資産を保有していることが多いため、1口あたりの評価額が高額になることがあります。
また、自身が経営する場合の医師は、出資数が多くなるため、出資だけでも莫大な財産となります。
したがって、医師の出資については、必ず対象財産に含める必要があります。
3 退職金
医療法人を経営している場合、通常は役員であり、退職金はないでしょう。
しかし、節税目的もかねて将来、理事が退任するときに退職金を支給するために保険を掛けていることがよくあります。
このように保険をかけている場合(法人としては、保険料を損金処理し、個人報酬の額を減らせるためメリットがあります。)、退職金が発生します。
しかも、理事の退職金の額は、かなり高額になります。
そのため、退職金も財産分与の対象とすることを忘れないようにしなければなりません。