第21回離婚弁護士コラム 有責配偶者からの離婚請求は認められるのか

離婚に関する情報を集めていると「有責配偶者」という言葉をよく目にするのではないかと思います。今回のコラムでは、浮気やDVなどによって自ら離婚原因を作った有責配偶者からの離婚請求が認められるのかについて解説したいと思います。

 

有責配偶者とは

有責配偶者とは、離婚原因を作ったことについて責任のある配偶者のことをいいます。例えば、不倫をしたり、DVをした配偶者を指します。夫婦の関係が破綻した原因がどちらか一方だけにあると判断するのは難しいケースもありますが、法律上の離婚原因として列挙されている、不貞行為、暴力、悪意の遺棄などがある場合には、それらの行為を行った者が一般的に有責配偶者と判断される傾向にあります。

 

有責配偶者からの離婚請求

有責配偶者からの離婚申し入れに対して、相手が応じ離婚に関する合意が整えば、協議離婚は成立します。協議離婚は、お互いが離婚に納得し、合意さえ整えば、一方が有責配偶者であっても特に問題はありません。

しかし、夫婦間で離婚の合意が成立しない場合には、家庭裁判所における調停や審判、最終的には裁判で離婚請求することになります。裁判で離婚するためには、法律上の離婚原因、例えば不貞行為やDVがあった事実を挙げて離婚を求めることになるのですが、自らその離婚原因を作った有責配偶者が主張することは許されるのでしょうか。

 

原則として有責配偶者からの離婚請求は認められない

原則として、有責配偶者からの離婚請求は認められません。自ら離婚原因を作っておきながら、それを理由に離婚を求めるのは社会正義、倫理・道徳的に許されないと考えられるからです。
例えば、自ら不倫をした夫が、不倫相手と一緒になるために、離婚を拒む妻子を捨てるなんてことは信義則に反するとして認められません。

ただ、既に婚姻関係が破綻しているにも関わらず、常に夫婦関係を維持しなければならないとするのも問題があるため、裁判所は一定の条件のもとに、例外的に有責配偶者からの離婚請求を認めています。

 

有責配偶者からの離婚請求が認められる要件

判例上、原則的に有責配偶者からの離婚請求は認められませんが、夫婦関係が破たんしていると認められる場合や離婚請求を認めても他方配偶者に影響が少ない場合には離婚請求が認められる場合もあります。たとえば、

・夫婦の別居期間が長期間(約6年以上)に及んでいる。
・夫婦の間に未成熟子がいない。
・離婚される側の配偶者が離婚によって精神的、社会的、経済的に過酷な状況にならない
・財産分与など、相手の生活維持について誠実な配慮をしている

などがあげられます。

最終的には、有責配偶者からの離婚請求について、夫婦間の事情等を総合的に考慮して裁判所が離婚請求の可否を判断することになります。

当然のことですが、仮に有責配偶者からの離婚請求が認められたからといっても、慰謝料等の支払義務を免れるわけではないので、その責任に応じた慰謝料等の支払義務は負うことになります。

 

有責配偶者の離婚は弁護士に相談するのもおすすめ

有責配偶者からの離婚請求は、特別な条件を満たす必要があり、また、その判断には専門的な知識が要求されます。裁判までいかなったとしても、交渉の段階で、有責性に応じた様々な請求に対応する必要がでてくるため、条件面で折り合いがつかなったり、交渉が難航することも少なくありません。そのような場合には、離婚問題に強い弁護士のサポートを受けることをおすすめします。当事務所では、離婚に関する相談を、初回無料にて実施しておりますのでお気軽にご相談ください。