第24回離婚弁護士コラム 旧姓?結婚時の姓? 離婚時に結婚時の姓を利用し続けるメリット・デメリットを解説

前回のコラムでは、離婚時に旧姓に戻すメリット・デメリットについて解説しておりますが、今回のコラムでは、離婚時に結婚時の姓を利用し続けるメリット・デメリットについて解説したいと思います。離婚時に旧姓に戻すのか、それとも結婚時の姓を継続利用するのか、その判断に役立てて頂ければと思います。

 

離婚時に結婚時の姓を継続利用するメリット

旧姓に戻すことに伴う名義変更手続きが不要になる

結婚時に姓を変えた際には、運転免許証やパスポート、クレジットカードや携帯電話など、公的な記録の名義や契約上の名義など、多種多様な名義変更手続きをしているはずです。離婚により旧姓に戻すとなると、上記のような名義変更手続きをもう一度やり直す必要があり、非常に手間がかかります。離婚後も、結婚時の姓を継続利用することによって、再度の名義変更という煩わしい手続きが不要になります。

 

周囲に離婚の事実が知られにくい

離婚時に旧姓に戻すと、周囲に離婚の事実が気付かれるきっかけとなるのですが、結婚時の姓を継続して使用していると、周囲に対して何事もなかったのように振舞うことが可能となります。

離婚の事実を知られたくない人がいる場合や、仕事上、名前が変わると不都合があるなどの理由から、結婚時の姓をそのまま利用される方も少なくありません。

 

子どもの心理的負担を軽減

離婚時に、旧姓に戻し、ご自身が親権者となった場合に、子どもと姓が異なるのは何かと不都合なため、子どもの姓も変えることが多く見られます。そういった場合には、子どもにストレスなどの心理的影響があったり、場合によっては、学校で離婚の事実をからかわれたりなど、子どもへの精神的負担が大きくなることがあります。

結婚時の姓を継続利用する場合には、仮に親権者となっていたとしても、子どもと苗字が異なるといった事態を防ぐことができ、また、子どもの名前を変えることもないので、子どもへの心理的影響を少なくすることが可能となります。

 

離婚時に結婚時の姓を継続利用するデメリット

気持ちのリセットが困難

結婚時の姓をそのまま利用するとなると、元配偶者の姓を名乗り続けることになるため、人によっては、気持ちの切替が難しいという場合があります。特に、元配偶者に強い嫌悪感を抱いて離婚したような場合には、相手の姓をそのまま使うことで屈辱感を抱いたりする場合があります。

また、元配偶者やその親族から、「離婚したのだから、○○家の名前を使うな」などと、変更を促されるケースも稀にあります。法律上、婚姻時の姓を利用し続けることに問題はないので、旧姓への変更を強制されるということはありませんが、それが元で後ろめたさを感じたり心理的負担となる方もいらっしゃいます。

 

自分の元の姓に戻ることが困難になる

意外と盲点となるのが、離婚後に姓を戻すのは「ひとつ前の姓」に限られるということです。

例えば、出生時の姓がAという方が、結婚によりBという姓になり、離婚時に婚姻時の姓Bを継続使用し、その後再婚してCという姓になったとします。そして、再度離婚する場合、選択できる姓は、再婚によって変更したCという姓か、婚姻前の姓のBということになり、元々の姓であるAに戻ることはできません。また、再婚時に、自分の元々の姓であるAを夫婦の姓とすることもできません。

どうしても元々の姓に変更したいという場合には、家庭裁判所に「氏の変更許可申立て 」という手続きを申し立て、家庭裁判所の許可が必要となりますが、相応の理由がない限り認められないこともあります。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?今回のコラムでは、離婚時に結婚時の姓を継続利用する場合のメリット・デメリットを解説しました。前回、前々回のコラムと合わせてお読み頂くと、離婚時に苗字をどうするべきかについて判断するための参考になるのではないかと思います。

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