第29回離婚弁護士コラム 離婚したら保険証はどうなるの?離婚後の公的医療保険の切替について
離婚を考える際に、気になるのが保険証はどうなるのかということ。特に、夫(妻)の扶養に入っていた場合の妻(夫)の健康保険等は、離婚すると扶養家族から外れるため、元配偶者の保険が使えなくなるので、切替の手続き等が必要になり、どうしたらいいのか気になる方が多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、離婚した場合の公的医療保険の切替について解説したいと思います。
公的医療保険と国民皆保険制度
公的医療保険とは、私たちが病気やケガで医療機関を受診した際にかかる医療費の一部を負担してくれる保険のことをいいます。日本では、諸外国とは異なり、すべての人が公的医療保険に加入することを義務付けており、これを「国民皆保険制度」といいます。
国民皆保険制度により、基本的に、すべての人は何らかの公的医療保険に加入することになります。
代表的なのは、会社勤めのサラリーマンの方が加入する健康保険(組合健康保険、協会けんぽ)、公務員や教職員の方が加入する共済保険、それ以外の自営業者や、被扶養者ではない専業主婦、学生などが加入する国民健康保険があります。船員の方が加入する船員保険というものもあります。
これらの公的医療保険は、職業や扶養の有無などにより加入する保険が異なってきます。
離婚と公的医療保険
離婚によって配偶者の被扶養者から外れると、婚姻中に使用していた保険を利用することはできなくなり、また、離婚によって自動的に医療保険が切り替わるということはないため、状況に合わせて何らかの手続きが必要になります。
医療保険の切替を行わず、保険未加入の期間に医療機関を受診すると、診療・治療費が全額負担になってしまう危険性があるため注意が必要です。
[状況別]離婚に伴う公的医療保険の切替
配偶者が勤める会社の医療保険に加入していた場合
会社員の夫を持つ専業主婦の方などがこのパターンに該当します。
会社の健康保険は、その従業員や家族が入れる保険なため、離婚すると、扶養家族から外れるため、そのまま保険に加入し続けることはできません。
そのため、離婚後に、無職、自営業、パートなどをする場合には、国民健康保険への加入手続きを、新たに、就職する場合には、勤務先の健康保険に加入することになります。
具体的には、配偶者の勤務先で扶養から外れる手続きをしてもらい、扶養から外れたことを証明する「資格喪失証明書」を取得します。
この「資格喪失証明書」を、国民健康保険に入る場合は、市区町村役場に提出して手続きを行い、新たに就職する場合には、自身の勤務先の担当部署に提出し、新しい健康保険への加入手続きを行うことになります。
扶養家族として国民健康保険に加入していた場合
自営業や農業従事者の夫を持つ専業主婦の方などがこのパターンに該当します。
夫を世帯主とする国民健康保険に妻が入っていた場合には、「世帯変更」という手続きが必要になります。国民健康保険を利用すること自体は変わらないのですが、離婚によって世帯が変わるため、新たに自分が世帯主となる国民健康保険に加入することになります。
離婚後に新たに就職する場合には、上記の手続きの代わりに、勤務先の健康保険に加入することになります。
自身が勤める会社の医療保険の加入していた場合
自身も正社員として働いていて、配偶者とは別に公的医療保険に加入していた場合には、離婚後に手続きは不要になります。ただし、離婚によって姓が変更になる場合には、その旨の申請は必要になります。
配偶者が自身の医療保険に加入していた場合には、離婚による扶養から外す手続きを会社に申請することになります。
自身が世帯主として国民健康保険に加入していた場合
ご自身が自営業者で国民健康保険の世帯主だった場合は、保険の切替は不要になります。ただし、家族構成が変わることで保険料は変わってきます。
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