第46回離婚弁護士コラム 親権の辞任や変更とは?最悪の事態になる前に知っておくべき知識

現在、貧困の問題や、コロナ禍の影響による失職・収入減、生活必需品の値上げなどもあり、生活に苦しい方も少なくないのではないでしょうか。特にシングルマザーの方などが子どもを育てていくことは決して容易なことではありません。今回のコラムでは、最悪の事態に陥ってしまう前に、知っておきたい親権の辞任や変更について解説したいと思います。

 

親権と子どもの福祉

親権とは、未成年の子を監護・教育し、その財産を管理し、その子を代表して法律行為をする権利を有し、義務を負うことです。

未成年の子どもは、親の監護や教育がなければ、生活していくことができません。ですので、親権は、親の権利であると同時に、子どもの福祉の観点から、義務となっています。

親権は、子どもの福祉に欠かせないものであり、親の義務としての性質から、親が独断で辞任や変更をできるものではありませんし、親と子の双方が合意があったとしても、認められないのが原則です。

 

親権の辞任

子どもが生活していく上で欠かせない親権ですが、いかなる状況であっても、一切、親権を手放すことができないわけではありません。親子共倒れという最悪の事態は避ける必要があるからです。

親権の辞任が認められるためには、親権を手放すやむを得ない事情があり、家庭裁判所にそれを認めてもらう必要があります。

 

親権を辞任する「やむを得ない事由」

親権者が、親権の辞任を家庭裁判所に認めてもらうためには、親権を辞任する「やむを得ない事由」が必要となります。

具体的には下記のようなケースを指します。

 

経済的に困窮している

親権者が失業等により、子どもの生活や教育を受けさせるだけの経済力がない場合。「収入減により、少し生活が以前と比べて苦しくなった」程度では、辞任が認められないケースが多く、経済的困窮により食費もままならないというような状況を指します。

 

重い病気や障害

重い病気で長期入院や療養が必要であったり、事故などにより障害が残り、自身の生活でさえ困難になったという場合も、親権の辞任が認められる可能性があります。

 

服役や海外赴任

親権者が罪を犯して刑務所に服役するような場合や、海外赴任となったが、その国の情勢等より子どもを連れて行けないなどの場合も、やむを得ない事由ありとして、親権の辞任が認められる可能性があります。

なお、仮に親権の辞任が家庭裁判所に認められた場合、親権者がいなくなってしまう事態を避けるために、子どもを保護するための未成年後見人という監護者を家庭裁判所で選任してもらう必要があります。

 

親権の変更

未成年者の子どもがいる夫婦が離婚すると、夫婦のどちらか一方が親権者となります。親権者になった者が、親権者にならなかった他方に親権を移す手続きを、親権者の変更といいます。

親権者の変更も、家庭裁判所での手続きが必要となりますが、親権者の辞任とは異なり、親権を移す相手も、本来、親権を獲得し得えた者であるため、親権者の辞任よりも緩やかな要件で認められます。親権者を変更することが「やむを得ない」とまでは言えなくても、「子の利益のため必要」と認められれば足ります。

 

親権で悩んだり・困った場合には弁護士に相談を

親権は、解説のとおり、必要な手続きを踏めば、辞任することや変更することも可能です。子どもの幸福を考えた場合には、できる限り親権を手放さないに方法を模索すべきですが、その結果、ご自身の生活が立ち行かなくなってしまっては、子どもにとっても本当に利益になるのか疑問が残ります。

親権のことで悩んだり・困った場合には、専門の弁護士に相談することをおすすめします。離婚や親権問題には、様々な問題がつきまとうため、経験豊富な弁護士であれば、状況改善のためのサポートや他の手段を一緒に検討することも可能です。

当事務所では、数多くの離婚・親権問題に携わってきた、経験豊富な弁護士が、皆様の悩みに向き合い、真摯に対応いたします。相談は初回無料となっておりますので、悩んだら、まずはご相談下さい。