離婚した後、養子縁組はどうなるか
再婚するときなどに自分の連れ子を再婚相手との間で養子にする手続きが取られるような関係がよくあります。
このようなに養子縁組した後、夫婦関係が悪化して離婚してした場合、養子と養親の関係はどうなってしまうのかがお悩みになる方も多くいらっしゃいます。
養子縁組を解消し、養親子関係を消滅させるには、「離縁」という手続きが必要です。離縁の当事者は、養親と養子(養子が15歳未満のときは離縁後の法定代理人)です。
離縁には、協議離縁、調停離縁、裁判離縁の3つの方法があります。
養子と養親の双方が離縁することに合意していれば、役所で「離縁の届出」をするだけです(民法811条1項、812条、739条、戸籍法70条)。 しかし、どちらかが養子縁組の解消に反対する場合は、調停や裁判を経なければ、養子縁組を解消することができません。
例えば、たとえば離婚後養育費の支払いを逃れるために離縁を求めることに対して、片方がこれに応じない場合や養親が資産家の場合に、養子は相続人になるため、養子縁組の解消に同意しないことなどが考えられます。
調停では、話し合いがまとまれば、調停により離縁することができます。
一方、裁判による離縁では、離縁が認められるためには、以下のいずれかの要件に該当する必要があります(民法814条1項)。
①他の一方から悪意で遺棄された
②他の一方の生死が3年以上明らかでない
③その他縁組を継続しがたい重大な事由がある
離婚した際に、配偶者の親との養子縁組を解消したいという場合は、上記③の要件に該当するかが問題となります。
これは様々な事情を総合して判断されるものですので、一概にはいえませんが、過去の裁判例をみると、主に婚姻期間や離婚により養親と養子の関係がどのように変化したかといった事情が考慮されています。
離婚したというだけでは養子縁組の解消が認められなかった例もあります。
離縁については、親子関係を解消するという身分関係のため、単なる経済的な問題だけではなく、子どもと親の関係など様々な事情が考慮されるため、離婚の際には離縁についても考慮する必要があります。