第31回離婚弁護士コラム 離婚の慰謝料ってどんな場合に請求できるのか
離婚の際には、財産分与や養育費など様々なお金に関する問題が絡んできますが、よく耳にするのは「慰謝料」という言葉ではないでしょうか。離婚の話題についてまわる慰謝料ですが、離婚すると常に慰謝料を請求できるとは限りません。今回のコラムでは、離婚の際の慰謝料はどのような場合に請求できるのか、基本について解説したいと思います。
慰謝料は精神的苦痛に対する賠償責任
そもそも慰謝料とは、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対しての損害賠償のことを指します。
財産分与は、夫婦が共同で築き上げた財産を離婚の際に精算するという性質があるため、離婚の際には必ず分配することになりますが、慰謝料は、相手の行為に対する賠償請求なため、「相手に何の非もない」というような場合には、離婚したとしても必ず請求できるわけではありません。
例えば、「相手の浮気が原因で離婚する」という場合には、浮気した配偶者に離婚原因をつくった責任があるため、慰謝料を請求することができますが、離婚について、どちらに原因があるのか不明という場合には、慰謝料を請求することはできません。
ですので、基本的には、離婚の原因をつくった責任のより重い者が、相手に慰謝料を支払うということになります。
離婚慰謝料には、厳密に言うと、浮気やDVなどの不法行為によって生じた精神的苦痛に対する慰謝料と、離婚により配偶者としての地位を失うことによって生じる精神的苦痛に対する慰謝料の2つが含まれますが、両者とも相手の有責行為(離婚原因をつくる行為)が前提となるため、特に区別せずに扱われることがほとんどです。
離婚慰謝料が発生する代表的なケース
■不倫、浮気などの不貞行為があった
■暴力(DV)や悪意の遺棄(正当な理由なく夫婦間の義務を履行しないこと)
■生活費の不払いなどによる経済的DV
■モラハラなどの精神的な暴力
■性交渉の拒否など
上記のような行為があれば、相手に離婚についての有責性が認められ、慰謝料を請求することができます。また、過度の飲酒により酒癖が悪い、ギャンブルなどによる浪費癖がある等も慰謝料が発生する有責性が認められることがあります。また、一方的な離婚の申し入れなども、それ自体が有責行為とみられ慰謝料が認められる傾向にあります。
離婚の理由として、最も多い「性格の不一致」ですが、不一致なのは両者に責任があると考えられるため、それだけでは慰謝料を請求することは困難になります。また、親族との不仲や、宗教上の問題なども、慰謝料を請求するのが難しくなります。慰謝料を請求するためには、例えば、夫の両親と不仲であるため、「夫がそのことを理由にモラハラを行う」、「夫が実家にばかり行って、帰ってこない結果、夫婦間の義務を履行しない」などの事実を主張する必要があります。
慰謝料を請求できるか弁護士に相談
具体的にご自身のケースで慰謝料を請求できるかどうかを知りたい方は弁護士に相談にすることをオススメします。
浮気やDVなど、明確な有責性のある行為がある場合でない限り、実際に慰謝料を請求できるかどうかは具体的なケース毎に様々な事情を総合的に判断する必要があるため、離婚問題や離婚慰謝料に詳しい弁護士に相談するのが安心で確実な手段となります。
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