第41回離婚弁護士コラム 離婚すると大変なペアローンについて

マイホームを購入する際に、共働き夫婦の増加とともに、近年、利用される機会も増加しているペアローン。ドラマ「正直不動産」でも取り上げられたました。ペアローンを利用するメリットは大きいのですが、デメリットもあり、特に離婚の際には大きな障害になります。今回のコラムでは、ペアローンとその注意点について、離婚という観点から解説したいと思います。

 

ペアローンとは

ペアローンとは、同一物件に対して複数の債務者(借入する人)がそれぞれローン契約を行い、お互いに連帯保証人になる借入方法です。

夫婦共働きが一般化しつつある現在では、夫婦でペアローンを利用される方が多くなりましたが、以前は、親子でペアローンを組むというケースも多く見られました。

住宅ローンの借入金額は、通常、借りる人の年収によって増減しますが、夫婦でペアローンを組むと、夫婦それぞれの年収から借り入れ金額を決めることができますので、両者のローンを合わせることによって、より多くの借入を行うことができます。

例えば、夫が2,000万円のローンを組み、妻も2,000万円のローンを組めたとすると、合計すると4,000万円の借入限度額となるため、購入できるマイホームの選択肢が、夫婦一方の単独ローンよりも大きく広がります。

また、夫婦それぞれがローンを組んでいるため、両者とも住宅ローン控除が受けられるため、共働き夫婦にとっては少なくない節税効果を受けることができます。

 

ペアローンと離婚

ペアローンには、様々なメリットがありますが、デメリットもあります。特に、離婚した際には、デメリットが大きく顕在化します。

ペアローンで購入した物件は夫婦の共有不動産

夫婦でペアローンで購入した物件は、夫婦の共同所有となります。つまり、自宅をどうするのかについて、単独では決定することができません。

よくあるパターンとして、夫婦の一方は家を早期に売却してしまいたいと考えたとしても、他方がそのまま住み続けたいと考え、売却に反対すると、当然、売却の話しを進めることはできません。

お互いのローンについてお互いが連帯保証人

ペアローンを組む際には、通常、お互いがお互いのローンについて連帯保証人となっているため、どちらかのローンについて返済が滞ると、他方は、自身のローンだけではなく、連帯保証人として他方のローンの返済義務が発生してしまいます。

お互いが夫婦の場合には、お互いが協力しつつ対処できたのものが、離婚してしまうと、連絡すること自体に抵抗があるなど、スムーズな連携がとれず、毎月のローン返済日に「相手の支払」について不安を抱え続けることになります。

 

ペアローン物件の売却

仮に、ペアローンで購入した物件について、夫婦(元夫婦)間で売却することの合意を得られたとしても、いくつか問題が残る場合があります。

 

アンダーローンの場合

アンダーローン、すなわち、ローンの残債務より物件の時価(売却額)が高い場合には、比較的話しはシンプルになります。

アンダーローンの場合、自宅の売却によってローンが完済できるので、売却後に余った残金を、財産分与として分配することで足ります。

オーバーローンの場合

オーバーローン、すなわち、ローンの残債務より物件の時価(売却額)が低い場合、通常このようなケースでは、そのままでは自宅を売却することができません。ローンを完済していない以上、住宅購入資金を提供した金融機関は抵当権を抹消してくれないため、いわゆる担保として自宅が抵当に入っている状態が継続します。そのような物件を購入する人は基本的にはいないため、買い手がつかない状態になります。

オーバーローンの状態で自宅を売却するには、ローンを完済するのに必要な不足分を調達したり、金融機関と相談の上で任意売却するなどの方式をとる必要があります。

 

自宅を売却せずに片方が住み続ける場合

ペアローンで購入した自宅を売却せずに、どちらかが住み続ける場合には、自宅から出て行く方のローンをどうするのかという問題が残ります。

自宅に住み続ける者が、他方のローンを支払うために、ローンを一本化したいところですが、ローンを一本化するための借り換え等が可能か否かは金融機関が判断することになり、また、一本化するということは、2人分のローンを一人で負担することになる=信用力が大きく低下するため、それを金融機関が認めるのは非常に難しくなります。

ペアローン物件の購入にはご注意を

ペアローンでの物件購入には、メリットだけではなくデメリットもあるため、利用の際には、慎重に検討する必要があります。

実際に、ペアローンで物件を購入し、離婚を検討されている方は、離婚問題だけではなく不動産実務にも精通した弁護士に相談することをおすすめします。