第42回離婚弁護士コラム 専業主婦でも親権を獲得できるのか
専業主婦の方が離婚を考えるとき、経済力に不安を感じ、子の親権をとることができるのか、心配で相談に来られる方も少なくありません。共働きの夫婦が増加しているとはいえ、出産・育児のために、子が幼い時期に仕事を辞めている方も多くいらっしゃいます。今回のコラムでは、専業主婦の方でも親権をとるためのポイントを解説したいと思います。
収入や社会的地位は重要な要素ではない
確かに、親権者を決める際に、子どもの福祉・利益の観点から、収入・経済力のあることはひとつの判断要素とはなります。子に必要な食事を与えたり、十分な教育を受けさせるためにはどうしてもお金が必要になるからです。
しかし、実は、親権者を決める際に、収入や社会的地位はそれほど重要な判断要素ではなく、収入等によって親権者が決まるといったケースはほとんどありません。
仮に、収入のない母親が親権者になった場合でも、父親も親である以上、離婚によって親権者とならなかったとしても、扶養義務を負うため、母親は父親から養育費を請求することができるからです。また、実家の援助等を受けられるなら、その点でもカバーできますし、母子家庭には公的な扶助制度も各種用意されているため、それらを活用することで、収入面での不利な要素は十分補うことが可能だからです。
親権獲得で重視されるポイント
母性優先の原則
子どもがまだ幼い場合、日本では子どもには母親が必要(母性優先の原則)という考え方から、母親が親権を獲得するケースが多い傾向にあります。
子どもが健全に育つためには、いわゆる「母性愛」を子どもに対して与えることができる存在が不可欠という発想が根底にあります。
近年では、父親が従来の母親的役割を担い、適切な監護をしていた場合には、父親が親権を獲得するケースも少しずつ増えてはいますが、それでも母親を重視する傾向は根強く残っています。
子どもの福祉の観点からは、母性愛は重要であり、それは収入の有無とは基本的に無関係と言えるため、専業主婦であっても親権を獲得できる可能性は非常に高くなります。
監護実績と現状尊重の原則
専業主婦であるということは、通常、子どもの監護を実際に担ってきているはずですので、それらの実績は、親権者を決める上で重要視されます。
これまで適切に子を監護してきた実績がある以上、監護する意思と能力があれば、引き続きこれまでと同様に子にとって必要な監護がなされることが期待できるからです。
また、現状、母親が子どもを監護しているのに、離婚によってその監護状況を変更してしまうと、子にとって悪影響を与えかねないため、なるべく現状を尊重し、生活環境を極力変更させないようにしようという考え方(現状尊重の原則)も、親権者を決める際には重要視されており、その点からも専業主婦は有利といえます。
親権について不安があれば弁護士に相談
専業主婦であっても、通常母親に期待される適切な監護をしていれば、親権を獲得する可能性は非常に高いと言えます。もし、ご自身のケースで親権を獲得できるか不安な方は、離婚問題・親権問題に強い弁護士に相談することで、安心して離婚することが可能となります。
当事務所でも、数多くの離婚案件に携わってきた親権問題に強い弁護士が、無料相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。