退職金の財産分与

離婚時の財産分与において、退職金は、財産分与の対象となるでしょうか。
財産分与の基本的な考え方は、離婚時に夫婦生活によって、増加した財産の清算・分配をするというものでした。

そのため、夫婦の一方が得た退職金は、一般的には、婚姻期間中の就労に基づく財産であり「特有財産」とは考えられておらず、退職金が財産分与の対象になり得ます。
しかし、すべてが当然に財産分与の対象となるわけではなく、基本的に退職金を既に受け取っているか否かによって判断が分かれます。

・ 離婚時に既に退職金を受け取っている場合
離婚時に既に退職金を受け取っており、現金化している場合は、当然に財産分与の対象となります。ただ、財産分与はあくまで夫婦生活によって増加した財産を対象にするため、婚姻している期間中の対価としての性質をもつ部分に相当する退職金額のみが対象という点に関して注意が必要です。
ただ、一般的には、退職金を受け取ってから期間が立っている場合そもそも退職金自体が消費され、お金がほとんど手元に残っていないような場合には、当然分与の対象となりません。
・離婚時に退職金がまだ支払われていない場合
離婚時に退職金をまだ受け取っていない場合、退職金を受け取ることは、未来のことであり、会社の経営状態の悪化などによっては支払われない可能性があり、仮に支払われるとしても正確な金額の予想や計算で難しく、財産分与の対象とはならない可能性が高いです。
もっとも、離婚の時点で、退職まであと2〜3年であるという場合や、若年離婚であっても、近々の退職が決まっていて、退職金が支払われることがほぼ確実といえる場合であれば、財産分与の対象とされる可能性があります。