第4回離婚弁護士コラム 覚えておいて欲しい家庭内暴力とシェルター保護

夫から自分や子供たちに対して、家庭内暴力=ドメスティックバイオレンス(DV)の被害に遭った場合、生命や身の安全を確保するために、一時保護施設や民間のシェルターへ避難することができますし、また、被害が大きくなる前に避難するのをオススメします。今回の離婚弁護士コラムでは、意外と知らない方も多いDV被害からのシェルター保護について説明します。

 

DVシェルターとは

DVシェルターとは、ドメスティックバイオレンス(DV)に遭った被害者を、加害者である配偶者等から隔離して保護する施設のことをいいます。行政が運営する公的なシェルターや民間団体などが運営するシェルターもあります。

自分や子供の身に危険を感じた場合は、いきなりシェルターに行くのではなく、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談しましょう。危険性が高ければ、シェルターなどにそのまま案内してくれます。

 

具体的にDVシェルターはどんなところ?

まず、シェルターはDV加害者が突然押しかけてくることがないよう、住所や所在は非公開となっています。子どもを同伴することも多いですが、中学生以上の男児については入居できない場合もあります。

シェルターには、DVの危険が終わるまでずっと滞在できるわけではなく、2週間くらいで退去となります。退去までに転居先を確保する必要があり、また、一時保護中、連れてきた子供は原則、学校に通えなくなります。

そして、子供の学校は加害者に知られないように転居先の学区に転校することになるため、転校の手続きも進める必要があります。

住民票の移動は、転校に必須ではありませんが、住民票を異動した場合でも、役所に閲覧制限の申出をすることによって加害者からの住民票取得を禁止する措置をとることができます。ただし、無期限に認められるわけではなく、一定の期間で閲覧制限の措置が終了してしまうため、延長する場合は期間終了前に申し出る必要があります。

また、シェルターにいる最中は、原則、携帯電話を使用することができません。加害者からの電話がかかってきたときに、加害者の恐怖や圧力に屈して居場所を教えてしまう可能性があり、基本的には外部の連絡について不自由することがあるかもしれません。

 

DVシェルターと保護命令

シェルターに入った場合は、手続き的に保護命令を申し立てることが多く、そのまま離婚調停を申し立てることになります。保護命令というのは、加害者に対して、接近禁止や電話の禁止を裁判所に命じてもらうものです。

そのため、シェルターに入った場合は、すぐ弁護士に相談することをお勧めしますし、シェルターの職員なども勧めてくると思います。シェルターはあくまで一時避難の場所なので、シェルターにいる間に様々な手続きを進行することになります。

 

暴力などの被害を受けたら

最後に繰り返しになりますが、暴力などの被害を受けたら我慢せずに避難を優先させてください。お一人で悩むのではなく、配偶者暴力相談支援センターや警察にすぐに相談してください。また、DVシェルターなどの避難場所があることや、当事務所の弁護士のように、あなたの味方になる存在がいることを忘れないでください。