第2回離婚弁護士コラム 財産分与と将来の退職金の関係まとめ
結婚生活が長い夫婦が離婚する場合、他方または双方に、退職金がある場合があります。
離婚のケースによっては、退職金をもらった後ではなく、将来もらう予定の段階で離婚に至ることがあるかと思いますが、将来の退職金は財産分与の対象になるのかどうか気になるところです。既に退職金を受領した段階で離婚する場合には、基本的に、退職金は給与の後払い的な性質があることから夫婦の共有財産として財産分与の対象になります。
退職金を受給する側としては、あくまで将来のことであり、離婚の精算としての財産分与としては認めたくないと思われると思います。
一方、もらう側は、長い間、配偶者の内助の功として、配偶者を支えてきたとの想いがあり、自分が働きに出るより、労働できる環境を整え、応援する方がいいと思って、専業をしている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回の離婚弁護士コラムでは、将来の退職金の財産分与についてお話ししたいと思います。
将来の退職金と財産分与
将来の退職金は財産分与の対象か?
将来受給する予定または可能性がある退職金や企業年金は、その形成が夫婦の相互扶助によって形成されたと認定される限りにおいては、離婚時または別居時の夫婦の共有財産といえ、財産分与の対処となります。
実際の算定方法は?
将来の退職金が財産分与の対象だからといって、退職金「全額」が直ちに、財産分与の対象になるわけではありません。
退職金の算定方法において、勤労年数が関係する算定方法による場合に、勤労年数の方が結婚期間より長い場合、夫婦相互扶助としての形成は一部となりますので、結婚期間と就労期間とを割り戻して計算することになります。
また、退職金制度自体は会社に存在する一方、退職まで相当期間がある場合は、現実的に退職金を手にするのが相当後の未来であること、離婚時にはまだ現実的な現金として具現化されていないこと、将来の予定であり、確定した金額ではないことなどから、給付予定が直近の場合とは違い、退職金額全額を財産分与にすることは、裁判所においても比較的消極的姿勢を示すことが多いと思われます。
離婚弁護士目線の退職金と財産分与の実際
実務上は、この場合は、就労日数と退職までの日数との割合で退職金額を割る方法や個人再生や個人破産における退職金の評価額にならって退職金額の8分の1を財産分与相当額とするといった金額で算定することなどがあります。
ただし、画一的な取り扱いがあるわけではなく、また裁判所によって取り扱いが異なる場合もありますので、退職金に関する財産分与のご相談は離婚に強い弁護士などの専門家にご相談していただいた方がよいと思います。