第7回離婚弁護士コラム ドラマ「昼顔」から見るバッドエンドな不貞慰謝料請求
昨今、ニュースでも不倫や不貞、ダブル不倫などスキャンダルな話題が上がり、また、一般の方からの相談においても、不倫を原因とした離婚や慰謝料請求の相談が増加しております。
数年前に話題になった「昼顔」というドラマ(映画)も不倫を題材とする内容であり、世間の関心の一つとして不倫というものがある意味身近になっていると思います。
「昼顔」においては、最後、非現実的とはいえバッドエンドにて終わりますが、その過程においても現実の不貞慰謝料事件で参考できることも含まれております。
ただ、実際の不貞事件は、ドラマや映画と異なり、淡々と粛々と進む傾向があり、弁護士としてもできることととできないことがあります。
今回は、不倫、浮気の慰謝料請求に関する基本についてご説明いたします。
まず不倫や浮気とは何か
浮気や不倫という単語は、一般的には、結婚しているにもかかわらず、配偶者以外の異性と関係を持つことを指して使用されると思います。
法律用語として「浮気」「不倫」というものはなく、「不貞行為」と言います。
法律用語としての「不貞行為」とは、既婚者が配偶者以外の異性と、もしくは既婚者である異性を相手に、そのことを知りながら、性行為または性行為類似行為を行うことを言います。
そして、不貞行為は、平穏な夫婦生活を害する不法行為として、精神的苦痛を原因だととする慰謝料を請求することができます。
これが不倫・浮気の慰謝料と言われる所以です。
誰が誰に対して慰謝料請求できるのか
慰謝料を請求できるのは、不貞行為を働いた既婚者の配偶者となります。
また、請求は不貞行為を働いた既婚者自身及びその相手方それぞれに請求することができ、これは、既婚者自身、浮気相手だけ、2人共に請求でき、誰に請求するかは、請求者の自由な意思によることになります。
例えば、夫が会社の部下と浮気した場合、妻は夫、部下それぞれ、または2人ともに慰謝料を請求することができることになります。
慰謝料の請求方法、時効
慰謝料は、書面によらず、口頭でもでも請求可能です。
もちろん、内容証明郵便など証拠として残る方法によって、請求する方が良い場合が多いと思われます。
弁護士が請求する場合は、請求をした日を明確にするために、配達証明付きの内容証明郵便にて請求刷る場合がほとんどだと思われます。
また、通知や請求などをせず、いきなり、裁判を起こす方法や場合によっては、請求相手の財産を請求前に仮に差し押さえる仮差押手続きなどをする場合もあり、方法は、ケースバイケースとなるといっても良いでしょう。
さらに、慰謝料の請求には、時効があり、基本的には、不貞行為があったこと及び請求の相手方を知ってから3年経過すると時効が成立してしまいます。3年経過する前に、時効更新(時効の中断)措置を取る必要があります。
不倫・浮気の慰謝料の相場
では請求できる慰謝料の相場はどれくらいなのでしょうか?
仮に裁判となった場合、裁判官が判決で認容する慰謝料額を相場と仮定すると、裁判官は、概ね以下の事情を総合的に判断して、慰謝料額を決めると考えられます。
1 不貞行為の期間、回数
2 婚姻期間
3 不倫発覚後の夫婦の離婚または別居の有無
4 子供の有無
5 その他の悪質性などの事情
上記の中で基本的には、1の不貞行為の期間、回数と、3の離婚または別居の有無が慰謝料額に影響を与える重要なファクターとなることが多いと思われます。
実際の金額として、平均的な不倫事件であれば、大体100万〜200万くらいの間になることが多いと見受けられます。
他方、よくニュースで芸能人や著名人の不倫騒動で多額の慰謝料を支払ったなどといった報道がされることもありますが、これは、一般的な相場ではなく、離婚のときの財産分与や、精神的な慰謝料、その他、不倫問題がきっかけでCMなどを打ち切られたときの違約金なども含まれており、一般の方においては参考にするべきではありません。
不倫慰謝料まとめ
不倫・浮気といっても、その方々のバックボーンや不倫の内容によって、さまざまです。
当然、パッピーエンドに終わることはなかなかありませんが、やなだ総合法律事務所では、今まで数多くの不倫事件を扱ってきており、皆様のお悩みを少しでも解決できるよう、法律・精神面の双方からサポートいたします。