第9回離婚弁護士コラム 家庭裁判所の調査官調査ってなに?
離婚調停や子の監護権者指定、面会交流調停などの親権や子との面会の有無について揉めている件では、家庭裁判所から選任された調査官による調査が行われることがほとんどになります。
ほとんど皆さんは初めて離婚調停や監護権者指定、面会交流調停などを行うと思いますので、いったい何の調査を行うのか、調査官とは誰か、何か事前に準備することはあるのか、などといったご質問が多く寄せられます。
今回は、お子さんに関わる法的手続きにおいて、多くの事例で行われる調査官調査について記載したいと思います。
家庭裁判所の調査官調査とは
まず、子を監護する人や親権者、面会をするかどうかなどは、単に法律や社会通常上の判断のみではなく、夫婦関係、親子関係、子の性格、子の生活環境などを把握することが重要になってきます。子の問題は非常にセンシティブな問題であり、心理学や教育学など専門的な知見が必要となってきます。
そして、調査官とは、このような専門的知見を有している専門の資格者が家庭裁判所からの選任を受けて、調査を行うのです。
裁判所は調査官の調査報告書を見た上で、親権者や監護権者をどうするのか、面会交流についてどうやって解決するべきなのかなどの判断を行います。
調査官の調査結果は、裁判所を拘束するものではありませんが、実務上、調査官の意見と正反対の判断を裁判所が下す可能性はかなり少なく、実際に調査を行った調査官の報告書が親権などの判断においては最重要となってきます。
家庭裁判所調査官の調査って具体的にどんな調査?
では、家庭裁判所調査官の調査とは、具体的にどういった調査が行われるのでしょうか?
学校・保育園などの周辺機関への調査
まず最初に学校や保育園などの周辺機関に対して、調査、連絡などが行われることが多いでしょう。又、必要であれば、担任の先生などと面談、連絡をして、学校の様子などを直接聞き取りをする場合もあります。
当事者との面談
争いの当事者となっている両親双方と面談を行います。大抵は、家庭裁判所で行うことが多いと思います。面談では、親の経歴など、生活状況、スケジュール、家庭環境、住居環境などを聞き取られると思います。
面談の際のポイント
親権、監護権、面会交流どれにせよ、
①これまでの子の養育実績
②今後の子の養育計画・予定
などを具体的に説明することが重要でしょう。
これまでの養育実績に関しては、食事について、子どもが好きな食べ物を把握しているか、子どもがどのような遊びが好きで、その遊びをするとどのような反応をするのかなど、本当に細かく話をすること、又はできることが重要です。
今後の養育、監護計画関しては,子どもとの生活の具体的なスケジュール考えておくことが重要です。その際に、監護補助者、手伝いをしてくれる親族などを確保して、もしいなければベビーシッターなどに登録しておくなどの具体的に、不足の事態が生じても子どもにに影響が生じないような環境作りを前提として、準備できていると言うことをきちんと伝えることが重要です。
家庭訪問、子との面会
親の面談が終わると、次に、家庭訪問、子との面会が行われます。家庭訪問の主な目的は、子どもに対する調査をすることです。同居している親からの影響を排除するため、親に席を外してもらって子と調査官のみの面談が行われることが多いでしょう。
また、子が同居している親や家族とどのように接しているのかも観察の対象になります。同居していない親については、試験的面会という家庭裁判所内で子と面会する機会を設け、その様子を観察することがあります。
調査官調査での注意点
調査官調査の準備で最もやってはいけないことは、子供に対して、答えて欲しいこと、いって欲しいことを事前に子供に伝えることです。
調査官は心理学なども学んでいるため、子供の様子がおかしかったり、言わされていることは察知することがほとんどです。そのような場合、言わせている事実自体を持って、不利に働く可能性があります。
個人的には、親権者や監護権者などはどちらかのためではなく、お子さんのために最も良い判断をするべきであり、勝った、負けたの勝負とは無縁であると思っています。
子供の問題は非常に法律以上に難しい問題があり、実績がある弁護士に相談されることをおすすめいたします。