第44回離婚弁護士コラム 離婚協議中、相手の弁護士から受任通知書が届いた場合 どう対応すべきか
配偶者と離婚協議中や配偶者と別居中に、相手の弁護士から突然「受任通知書」が送られてくる場合があります。弁護士から内容証明郵便が届くと、驚き戸惑う方が多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、相手の弁護士から受任通知書が届いた場合、どう対応すべきか、その対処法を解説したいと思います。
受任通知とは
受任通知とは、「弁護士が本人の代理人に就きましたよ」ということを知らせる書面のことをいいます。
通常、この受任通知は内容証明郵便で送られてくるのが一般的です。内容証明郵便では、どのような内容の文章を、誰に、いつ送ったのかを、郵便局が証明してくれるため、後に証拠としても利用できます。
弁護士が就いたことを間違いなく通知するとともに、相手にプレッシャーを与えたり、離婚協議中の受任通知では、離婚の意思が硬いということを知らせる効果があります。
受任通知への対応
配偶者へ直接連絡しない
受任通知書の内容として、「本件については弁護士が窓口となりましたので、直接の連絡はお控えください」、「今後の連絡は○○ではなく、すべて弁護士宛てに連絡ください」など、本人への直接連絡を禁止する記載が書かれているのが通常です。
このような記載に法的拘束力があるわけではありませんが、直接本人に連絡することは「百害あって一利なし」なので、受任通知を受け取ったら、以後の連絡は弁護士宛に連絡するようにしましょう。
実際、受任通知を受け取った方の中には、「直接本人に問い正したい」、「直接話せばわかってくれるはずだ」などと思う方も少なくないようです。
しかし、相手の弁護士も自身の依頼者である本人に、直接連絡がきても対応しないように助言しているはずですので、仮に、本人に連絡しても「弁護士に連絡して」と取り合ってもらえないことがほとんどです。
また、直接連絡禁止の通知を無視して連絡をすると、「交渉に不誠実である」、「話し合いに非協力的」など、不利な印象を与えたり、場合によっては「執拗につきまとう性格」、「頻繁に連絡することを強要するタイプ」など、モラハラ的性質を邪推される危険性もあります。それを後に調停や裁判で証拠として利用されると、相当不利に働きます。
受任通知の内容に安易に回答しない
受任通知書には、相手の要望や離婚の条件が記載されているのが一般的です。
それらの要望や条件について、内容を精査しないうちに安易に回答してしまうと、それを後に覆すのは困難になります。また、例えば、慰謝料の額や財産分与の額を、一般の方が適切な金額を判断するのは容易ではないため、すぐに回答・反論するのではなく、専門の弁護士に相談の上、回答することをおすすめします。
受任通知書の回答期限
受任通知書には、「2週間以内に書面で回答して下さい」などの記載があり、多くの場合に回答期限が設けられています。
その期限は、相手が勝手に決めているだけなので、必ず守らなければならないというものではありません。
ですので、ご自身で回答するのが難しい、期間内に返答するのが難しい場合には、相手の弁護士に連絡して、「こちらも弁護士に相談した上で回答する」旨などを伝え、期限を延長してもらうのがおすすめの手段です。
全く何も連絡せずに無視していると、調停や裁判に発展する危険性が高いので、最低限、「弁護士に相談している」等の現在の対応状況とそれをいつ回答するかは伝えておくのが無難です。
弁護士に対抗するためには弁護士へ依頼
相手に弁護士が就いている以上、ご自身も弁護士に交渉を依頼するのが、最善策となります。法律の専門家であり、交渉のプロフェッショナル相手に、一人で立ち向かうのはリスクが高く、おすすめできません。どうしても、ご自身で対応するという場合でも、無料相談などを利用して、最低限、弁護士に必要なアドバイスを受けてから対応することをお勧めします。
当事務所でも、離婚に関する相談を、初回無料にて行っておりますので、相手の弁護士から受任通知を受け取った場合には、お気軽にご相談ください。