第35回離婚弁護士コラム 「でっち上げDV」、「虚偽DV」で離婚を突きつけられたらどうすべきか
前回のコラムでは、DV被害で苦しんでいる方に向けて、保護命令制度について解説しました。DV被害で苦しむ人がいる一方で、「DV被害の方を救おう」という流れを悪用し、存在しないDVをでっちあげ、有利に離婚交渉を進めようとする事案もあります。今回のコラムでは、虚偽DVについて、その対処法などを解説したいと思います。
虚偽DV、でっち上げDV、冤罪DV
「虚偽DV」、「でっち上げDV」、「冤罪DV」など、様々な呼び方がありますが、どれもその名の通り、ありもしないDV被害を捏造することを指します。
離婚交渉において、例えば、モラハラ(=モラル・ハラスメント)などの精神的な暴力は、明確にそれがモラハラかどうか判断するのは難しく、また、当事者の捉え方などにも影響するため、モラハラがあったかどうかで当事者の認識が異なるケースが多々あります。一方はそのようなつもりはなかった=モラハラとは認識していなかったとしても、相手を深く傷付ける言動はあります。
しかし、DV(=ドメスティックバイオレンス)、家庭内暴力は、目に見える身体的な暴力行為を指すため、通常、当事者間で認識の相違は見られません。
身に覚えのないDVで離婚を迫られる「虚偽DV」は、多くのケースで、自らをDVの被害者とすることで、「有利な条件で離婚交渉をしたい」、「DVは裁判上の離婚事由になるため、相手のDVを理由に早く離婚したい」など、様々な思惑から、存在しないDVの事実が捏造されることになります。また、場合によっては、「自ら不倫などをしていて自身が不利にならないように相手をDV加害者に仕立て上げる」というようなケースもあります。
虚偽DVの対処法
冷静にDVの事実を否定する
多くのケースで、虚偽DVの主張と並行して、離婚調停などを申し立てられることになります。その際に、事実と反する点は、しっかりと否定することが大切です。
相手が捏造した証拠、例えば、ケガの写真や診断書などを示してきた際に、証拠があるからと、DVを認めてしまうと、後に、それを覆すのは至難の技となってしまいます。
また、ついDV加害者として責められ、そのことに激高し、感情的に対応してしまうと、「感情的になって暴力を振るうおそれのある人」と邪推される危険性もあります。
配偶者やその代理人である弁護士と交渉する協議離婚や、調停委員の下で話し合う調停離婚では、両当事者の合意がない限り、何かが決定されることはないので、虚偽のものは虚偽としっかりと否定しましょう。
相手の主張はしっかりと聞く
仮に裁判離婚に移行したとしても、DVがあったどうかを証明するのは、DVがあったと主張する相手方になるので、不必要に慌てることはありません。
ウソをつくと、必ずどこかにほころびが出てきますので、冷静に相手の主張の不自然な点や矛盾点を指摘し、相手の主張や証拠の価値を下げていくだけで、こちらが虚偽であることを立証しなくても裁判に負けることはありません。
その意味で、虚偽である点はしっかりと虚偽であると否定しますが、相手の主張はよく聞く必要があります。
自身が実際に体験した事実は、記憶にある限り、ある程度具体的なことを回答することができるはずですが、ウソをついている場合には、例えば、「暴力を受けたと言っているが、それがいつ、どこで行われたか曖昧」であったり、「暴力を受けた時期や場所は明確に回答できるのに、なぜその暴力行為に至ったのか、その経緯については曖昧」など、不自然な点がどこかにあるはずです。
離婚問題に強い弁護士に相談する
「相手に捏造ではあるがしっかりとした証拠がある」、「相手方が弁護士を立てている」、「相手の主張から矛盾点や不自然な点を見つけるのが難しそう」など、ご自身で対応することに不安のある方は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
身に覚えないの事とはいえ、加害者として責められている状況で、冷静に相手の主張を分析し、適切な反論をするというのは容易なことではありません。
仮に相手が、「用意周到に虚偽DVを主張するための証拠を集めていた」というような場合には、それを突き崩していくために、こちらも有力な反証材料の提出が必要なケースもあります。また、相手があえて虚偽DVを主張してくるということは、裏に何かの意図があるはずですので、それを探り、反論の材料にする作業も平行して行うのが効果的なのですが、そのような対応には、離婚問題に強い弁護士の手を借りることが最も簡便で効率的です。
当事務所では、数多くの離婚案件に携わってきた実績と経験のある弁護士が、離婚問題に関する相談を受けております。初回無料で、時間制限もありませんので、安心してご相談いただけます。虚偽DVでお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
参考:当事務所の解決事例
【解決事例】妻から虚偽DVに基づく離婚請求、慰謝料請求を受けたが、それを退けた事例