第39回離婚弁護士コラム 離婚届の書き方を徹底解説 [札幌版]

離婚の際には、離婚届を記入して提出する必要があります。今回のコラムでは、離婚届の記載方法や注意点を、当事務所のある札幌市の離婚届を基準に全項目について徹底解説いたします。

 

離婚届の入手方法

離婚届けは市区町村役場の窓口で直接入手するか、ホームページからダウンロードすることができます。離婚届は、どこで入手しても問題はありません。

ホームページから用紙をダウンロードする場合、印刷する際に、A3サイズでプリントアウトする必要があるので注意が必要です。自宅のプリンターで印刷できない場合には、コンビニ等を利用する方法があります。

札幌市離婚届
http://www3.city.sapporo.jp/download/shinsei/search/procedure_view.asp?ProcID=00334
札幌市離婚届 – ダウンロード
http://www3.city.sapporo.jp/download/shinsei/procedure/00334_pdf/presen_00334_000.pdf

 

離婚届の記入方法

※上記見本は札幌市の離婚届けの記入例です。

 

届出日・届出先

届出日には、実際に、離婚届を提出する日付を記入します。郵送の際には、郵送する日付を記入します。届出先は、夫婦の本籍や所在地を管轄する地区町村宛てになります。札幌の場合には、通常、記載例のように“提出する区”を記入することになります。

 

氏名・生年月日

夫婦それぞれの氏名・生年月日を記入します。氏名の漢字は、戸籍通りに記入します。旧字体を使っている方は注意が必要です。また、夫婦の姓は、婚姻中の姓であり、旧姓ではありません。

 

住所

住所は、届出時に住民票のある住所とその世帯主の氏名を記入します。離婚と同時に転居届けを提出する場合には、転居届け記載の住所を記入します。

 

本籍

夫婦の婚姻中の本籍地と戸籍筆頭者の氏名を記入します。その際には、戸籍謄本通りに正確に記入します。ちなみに、戸籍筆頭者とは、戸籍の一番はじめに記載されている人を指します。

 

父母の氏名・続き柄

夫婦それぞれの父母の氏名を記入します。父母が婚姻中であり、姓が同一であれば、母の姓は記入不要です。離婚等により父母の姓が異なる場合に記載します。また、父母のいずれかに亡くなっている方がいたとしても、氏名の記載は必要です。続き柄は、父母からみた離婚する夫婦それぞれの続き柄です。長男、長女、二男、二女などです。戸籍関連では、「次男・次女」ではなく「二男・二女」と表記するので注意が必要です。

 

離婚の種別

該当する離婚の種別についてチェックします。裁判所の介入がなく、夫婦間で離婚を決めた際には「協議離婚」に該当します。協議離婚以外の場合には、調停や裁判が成立した日・確定した日を記入します。協議離婚の場合には、離婚届が受理された日が法律上の離婚日になるため、日付の記入欄はありません。

 

婚姻前の氏にもどる者の本籍

婚姻の際に、姓を変更した方は、離婚時に、旧姓にもどるか、そのまま婚姻時の姓を使用し続けるか選択することができます。

離婚時に、旧姓にもどる場合には、旧姓にもどる者をチェックし、旧戸籍にもどるか新しい戸籍をつくるのかを更に選択することができます。

離婚後も、婚姻時の姓をそのまま使用する場合には、記入欄は空白のままにし、別途「婚氏続称届出 」というものを提出することになります。

離婚時の姓について詳しくは
第22回離婚弁護士コラム 離婚したら苗字はどうなる?基本から徹底解説」をご覧ください。

 

未成年の子の氏名

夫婦間に未成年の子どもがいる場合には、どちらが親権者となるかを決める必要があります。親権を持つ者の欄に養育する子の氏名を記入します。未成年の子がいるのに、親権者がどちらになるのか決まっていない場合には、離婚届は受理されませんので注意が必要です。

 

同居の期間

同居を始めた年月と別居をした年月を記入します。同居を始めた年月は、結婚式をあげた年月または同居を始めた年月のうち早いほうを記入します。離婚届の提出日時点で別居をしていなければ「別居をしたとき」の年月は空欄で構いません。

 

別居する前の住所

離婚届の提出時に夫婦が別居をしている場合には、夫婦が同居をしていた際の住所を記入します。別居していなければ空欄で構いません。

 

別居する前の世帯のおもな仕事と夫婦の職業

別居する前の世帯の主な収入源となる仕事について、あてはまるものにチェックを入れます。夫婦共働きの場合には、「主な」収入源なので、収入が多い方の職業であてはまるものをチェックします。

夫婦の職業については、5年毎に実施される国勢調査のある年に離婚する場合に記入します。令和2年に国勢調査が行われたので、次に国勢調査が行われるのは令和7年となります。

 

その他

養父母が複数人いる場合には、その他の欄に記入します。養子縁組は、複数結ぶことが可能なため、養父母が複数人いる場合に記入します。

 

届出人署名・押印

届出人である夫婦それぞれが署名・押印します。署名は代筆は認められず、必ず本人が自書する必要があります。札幌市では、押印は任意とされています。通常、押印をする際には、印鑑は認印でも構いませんが、ゴム印は認められないのが一般的です。

 

日中連絡のとれるところ

離婚届に不備があったような場合には、市区町村役所から連絡がくるケースがあるので、日中でも連絡のとれる連絡先を記入します。

 

離婚の証人

裁判所が介入しない、夫婦間の話し合いで離婚する「協議離婚」の際には、証人が必要となります。18歳以上の証人2名に署名・押印の上、「生年月日」「住所」「本籍」を記入してもらう必要があります。一般的にはお互いの両親や友人が証人になることが多いのですが、離婚を相談している弁護士などになってもらうことも可能です。

離婚の際の証人について詳しくは
第25回離婚弁護士コラム 離婚届の証人は誰に頼むのが正解?証人を頼める人がいない場合は?」をご覧下さい。

 

離婚や離婚届出で困ったら

離婚の際に、離婚届を記載する必要上、親権者の取り決めなどはしたけど、養育費について取り決めがなかったり、財産分与や慰謝料について何も決めずに離婚してしまった、というケースも少なくありません。また、せっかく取り決めをしたのに、取り決め内容を書面等に残し、証拠化していなかったりすると、例えば、「約束した養育費が支払われていない」というケースもよくあります。

離婚に際して、不安なことがあったり、離婚後の生活について気になることやお悩みがある場合には、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所では、離婚問題に強い弁護士が、離婚後に確実に養育費を支払ってもらうためのアドバイスや、より良い離婚後の生活のために、財産分与や慰謝料についてもトータルでサポートいたします。初回無料にて相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。