第37回離婚弁護士コラム 養育費はいつまでもらえるのか?18歳成年の影響は?

本日から、改正法の施行により、成年年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。離婚の際に「子が成年に達するまで養育費を支払う」などの条件で養育費に関する取り決めがなされることが多くありますが、今回の法改正の影響はあるのでしょうか。今回のコラムでは、養育費はいつまでもらえるのか・支払う必要があるのか、18歳成年の法改正の影響についても解説したいと思います。

 

養育費とは

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。

離婚の際には、父または母のどちらが親権者となるか定めますが、親権者=子どもを監護することになった親は、他方の親から養育費を受け取ることができます。

離婚によって親権者ではなくなったとしても、子どもの親であることには変わりないので、親としての責任は引き続き負うため、養育費を支払う義務が発生するのです。

 

養育費の支払期間

養育費の支払期間は、夫婦間の協議によって決定されるのが原則となります。協議によって合意が得られるのなら、原則として、養育費の支払期間は自由に決めることができます。通常は、子どもが、「成人するまで」、「高校を卒業するまで」、「大学を卒業するまで」などの支払期間を定めるのが一般的です。

協議が整わない場合には、調停や裁判で決めることになりますが、その場合でも、概ね20歳を基準に養育費が決められます。ただ、夫婦の収入や学歴などから判断し、18歳や22歳(大学卒業)までとされることもあります。

そもそも養育費は、親としての子に対する高度な扶養義務から発生するものなので、例えば、子が重い病気を患っていて経済的・社会的自立が困難という場合には、子が成年に達していたとしても、養育費の支払義務が発生することはあります。

 

改正法により「18歳成年」の影響は

「民法の一部を改正する法律」が施行されたことにより、令和4年(2022年)4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられました。しかし、これにより養育費の支払期間が、当然に18歳までとなるわけではありません。

養育費は、子が未成熟であって経済的に自立することを期待できない場合に支払われるものなので、子が成年年齢である18歳に達したとしても、経済的に自立できていない場合には、未成熟の子として扶養の必要性に変わりはないからです。

改正法施行前に「子が成年に達するまで養育費を支払う」という取り決めがなされた場合、その時点では成年年齢が20歳であった以上、従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。

参考 法務省HP
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html

 

今後の養育費の支払期間の取り決め

制度の変わり目では、判断にバラつきが生じたり、余計な争いが発生するおそれがあるため、改正法施行後に、これから養育費に関する取り決めをする際には、「成年」という言葉ではなく、例えば、「22歳に達した後の3月まで」のように、明確に支払期間の終期を定めるのが望ましいと言えます。

 

養育費でお悩みなら弁護士へ相談

養育費に関する取り決めでお悩みの際には、弁護士へ相談することをおすすめします。実際に、取り決めを交わしたとしても、それがきちんと支払われないというケースも多くありますので、公正証書を作成するなどの対応が重要になります。

当事務所では、離婚問題、養育費問題に関する数多くの問題を解決してきた、実績のある弁護士が、皆様ひとりひとりの問題に寄り添い、真摯に対応いたします。初回相談無料、時間無制限で相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。