第48回離婚弁護士コラム 離婚の際に取り決めておきたい面会交流とは

前回のコラムでは、離婚の際に取り決めておく事項について、財産分与、婚姻費用分担、慰謝料など、様々な事項があることをお伝えいたしました。今回のコラムでは、その中で取り上げた面会交流について、具体的に詳しく解説していきたいと思います。

 

面会交流とは

離婚の際に、親権者とならなかった親のことを、専門用語で非監護親といいます。非監護親は、子どもと離れて暮らすことにはなりますが、親である以上、子どもと定期的に連絡をとったり、直接会ったりすることが可能です。それらの交流を、専門用語で面会交流と呼びます。また、面会交流する権利のことを面会交流権と呼びます。

たとえ離婚していたとしても、定期的に手紙や写真のやりとりをしたり、誕生日のプレゼントを渡すなど、親が子と愛情を持って関わることは、子どもの福祉にも寄与するため、面会交流権はとても大切な権利となります。

また、面会交流を子どもの方から望むのも当然であり、面会交流する権利は子どもの権利でもあります。その意味では、面会交流する義務が親にあるとも言えます。

なお、離婚が成立していない段階でも、夫婦が別居しており、子どもと離れて暮らしている親がいる場合にも、面会交流権に関する問題が同様に発生します。

 

面会交流についての取り決め

面会交流の取り決めについて、具体的な内容や方法の明確なルールが法律上定められているわけではありません。

ですので、基本的には、夫婦間で、子供の年齢、居住場所、生活状況、親同士の関係性などを踏まえて、面会交流の方法、頻度、日時や場所等について、協議して決めることになります。

多くのケースでは、親同士で面会交流の日程や方法等を取り決めておき、約束した日に子どもと遊んだり、食事したりするというのが一般的となります。頻度・回数等を決めておき、具体的な日時・場所は都度夫婦で決めるという方法もよく見られます。例えば「月に1回の頻度で面会を実施し、その日時・場所は都度、両親の都合を考慮して決めることとする」などです。

また、最近では、スマートフォンが普及し、ある程度の年齢となった子どもがスマートフォンを所有しているというもの一般化しつつあるので、多様な交流方法が考えられます。

 

面会交流の取り決めを行う時期

離婚の際には、親権者が誰になるのか必ず決める必要があり、親権者が誰であるのか記載のない離婚届は受理されませんが、面会交流については、離婚時に取り決めていなかったとしても、離婚は成立します。

つまり、面会交流についての取り決めは、離婚前でも離婚後でも行うことができます。

ただ、離婚時にしっかりと面会交流について取り決めをしておくと、離婚後に、いざ「子どもに会いたい」となった時に、スムーズな面会が実現可能となります。また、夫婦関係が険悪なまま離婚し、その後、面会交流を望む際に、協議を希望しても、話し合いがうまくいかず、争いが蒸し返される危険性がありますので、離婚の際に、しっかりと取り決めておくことをオススメします。

協議で、面会交流の条件等が調わない場合には、調停や審判等で話し合い、決めていくことになります。

参考:民法第766条第1項
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

 

おわりに

今回のコラムでは、離婚の際に取り決めておきたい事項のうち、面会交流権ついて、具体的に詳しく解説してみましたが、いかがだったでしょうか。財産分与、慰謝料、養育費など、お金に関わる事項に比べ、後回しにされがちな面会交流ですが、子の福祉にとっても重要な事項ですので、しっかりと取り決めをしておきたいところです。

また、前回のコラムでも、解説しましたが、取り決めを行った際には、その証拠として公正証書をのこしておくことも大切となります。離婚の際の公正証書について詳しくは、「第15回離婚弁護士コラム 協議離婚の際に公正証書を作成したい理由」で解説しておりますので、そちらをご覧ください。

当事務所では、離婚に関する無料相談を実施しております。多くの離婚案件に携わってきた専門の弁護士が、皆様の離婚後の新しい生活を応援するべく親身になって離婚に際しての条件面や内容面をアドバイスさせて頂きます。離婚に際して取り決めるべき事項で不安のある方は、お気軽に当事務所までご相談ください。