第15回離婚弁護士コラム 協議離婚の際に公正証書を作成したい理由

離婚の際に、養育費や慰謝料について取り決めを交わしても、それを証拠として残しておかないと言った言わないの争いや、不払いがあった場合に結局、泣き寝入りということにもなりかねません。今回の離婚弁護士コラムでは、離婚の際に公正証書を作成したい理由について解説したいと思います。

 

離婚協議書とは

夫婦間の協議によって離婚する協議離婚では、お互いに離婚の条件について話し合い、合意した内容を書面に残すのが一般的です。この合意内容を記載した書面を離婚協議書といいます。

例えば、財産分与や慰謝料の額、養育費の額やその支払い方法、子の親権や面会交流などについての取り決めを書面にするになります。

このような書面を残しておくことで、後に約束した養育費や慰謝料の支払が滞った場合に、合意内容を証明する証拠として用いて、支払いの請求を求めることができます。

 

離婚協議書の公正証書化

離婚協議書を作成しておくと、後に合意内容の証拠にはなりますが、それ以上の効果を見込む場合には、公正証書という形式で作成する必要があります。

公正証書とは、公証役場において、公証人という公的な立場の専門家が法律に基づいて作成する公文書をいいます。離婚協議書の内容を公正証書化すると、単に一般私人が作成した文書(私文書)とは異なり、様々な法的な効力や恩恵を受けることができます。

 

離婚協議書を公正証書化する理由

高い証拠能力と偽造・変造を防止

公正証書は、公証人という公的な立場の者が、法律に基づいて内容を精査し作成するため、内容の不備等のおそれがなく確実な証拠となります。また、作成された公正証書の原本は、公証役場に保存されるため、偽造・変造や紛失の危険性がなくなります。交付された謄本を偽造したり、紛失しても、原本には影響がないからです。

養育費などの不払い時にすぐに強制執行が可能

離婚協議書を公正証書化する最大のメリットは、養育費等の金銭的債権について、不払いがあった際に、すぐに強制執行の手続きに移行し、相手の財産や給与を差し押さえることができるという点です。

少し専門的なお話になるのですが、通常、養育費の不払いなどを強制的に回収しようとすると、まずは裁判で勝訴判決を得て、その後、強制執行の申立てを行うことなります。しかし、公正証書を作成し、その際に、強制執行認諾文言という特別な条項を入れておけば、いきなり強制執行の申立てを行えるようになります。

養育費などは、支払が滞ると、生活が困窮してしまうおそれがあるので、強制執行認諾文言付き公正証書があると非常に心強いと言えます。

相手への心理的強制効果が高まる

強制執行認諾文言付き公正証書を作成した場合には、当然、相手も不払いがあると、自身の財産や給与などが差し押さえられることを承知しています。実際に、強制執行を申し立てなくても、いざとなったら強制執行されてしまうというプレッシャーにより、相手に支払いを継続させる効果が期待できます。

安心・確実が新生活をスムーズにする

離婚後には、新しい生活があるため、元配偶者とはなるべく連絡を取りたくないという方がほとんどです。しかし、養育費等は支払って貰わないと自身や子どもの生活に支障がでるので、やむをえず連絡する、または、どうしても連絡したくないので養育費をあきらめるというケースも少なくありません。そのようなことを防ぐためにも、きちんと公正証書という形で離婚の際の合意内容を残しておきたいところです。

協議離婚の内容を公正証書化するには弁護士に相談

いざ公正証書化しようと思っても、公正証書化するには法的に不備のない内容にしなければならないし、ご自身で手続きをするのは多大な労力がかかります。手間を省き、離婚の条件を法的に不備がなく、適正な内容にするためには、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのが近道です。

当事務所は、多くの離婚案件に携わってきた専門の弁護士が、皆様の新しい生活を応援するべく親身になって条件面や内容面をアドバイスさせて頂きます。離婚に関する無料相談も実施しておりますので、離婚に際しての不安や養育費等がしっかり支払ってもらえるか不安な方は、お気軽に当事務所までご相談ください。